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射幸心や不安を煽って金を巻き上げる"こいつら"が許されるなら、どんなビジネスも真っ当なのでは?

2023年になって、世間が心機一転頑張ろうとしているタイミングで体調を崩しました。結構なしんどさで、能動的に本を読むほどの元気はなく、さりとて時間は持て余していた私は動画でも見て暇でも潰そうと思い立ったのです。

そうこうしているうちに出会ったのが、はじめしゃちょーの動画でした。

YouTuberによくある、大金だして○○買ってみたシリーズの鉄板コンテンツ。ざっくり説明すると710万円分の年末ジャンボを購入していくら損したのか?を楽しむ動画です。


以下、ネタバレになるので「どうしても自分の目で見たいんだ!」と思う方は動画を見てください。




710万円分の宝くじを購入したはじめしゃちょー。いくら損をしたのか?

結論から言うと、当選金額209万4800円で500万5200円の損失。回収率(還元率)29.5%。

高額当選を含めた還元率が50%を切るということは知っていたためそこまで驚きはなかったのですが、この動画を見て「宝くじはアコギな商売だな」と思ったわけです。

宝くじという商売

宝くじ公式サイトによると、令和3年度の販売実績は8,133億円で、そのうち46.2%に当たる金額が当選金として支払われています。

宝くじ公式サイトより引用

14.9%は印刷経費、売りさばき手数料などの経費なので、全体経費を計算すると46.2%+14.9%=61.1%となります。

つまり利益率は38.9%。ただ、宝くじを売るだけでこの利益率

"ワクワク"を売っているのは間違いない

とはいえ、宝くじに全く価値がないとも言いません。統計的に見たら1000円で462円のクーポンを購入しているようなものですが、超々ミクロな視点で見ると、「勝った!」という人もいるわけですからね。

人間は確率を正しく認識するのが苦手なので、超小さい確率は過大評価してしまう傾向があります。飛行機事故の確率は自動車事故よりも低いといわれていますが、飛行機が苦手な人がいますよね(私はそうです)。

宝くじも似たようなものです。たとえ1等の当選確率が1,000万分の1だとしても「当たるかも」と思えてしまうのです。そして、うきうきすることができるんですよね。

いうなれば宝くじは「エンタメ」に支払う出費です。カラオケに行って気持ちよく歌ったくせに「損した!」なんてクレームをつける奴がいたらやばいように、宝くじも「ワクワク」を購入しているのだと考えれば問題ないんでしょう。ーー多分

射幸心を煽って損をさせても許される宝くじ

還元率を考えると1000円を支払い、462円のクーポン券を購入するようなものです。それを公式サイトで告知しているとはいえ、CMなどではそんな気配は微塵も感じさせません。

「前後賞合わせて10億♪」

「さぁ、買いに行こう♪」

射幸心を煽りまくりですよね。散々射幸心を煽って損をさせる。

ですが、宝くじに「詐欺だ!」と叫ぶ人はほとんどいないわけです。むしろ真っ当なモノだとすら思われています。そうでなければ、あんなに街中で販売所はないでしょうし、行列はできないはずです。

いくら「宝くじはワクワクを売ってるもんだから」といえども、そのワクワクの源泉は「高額当選したときに入ってくるお金」なわけです。

「この株は当たればすごい伸びるから!」と散々煽った結果、半値を割るようなことがあれば多くの人は怒り狂うでしょう。しかし、同じことをやっても宝くじは許される。不思議ですね。

世の中にはクリーンな皮をかぶったアコギな商売がたくさんある

本来、宝くじは刑法第百八十七条で禁止されている富くじに該当するのですが、例外的に全国の都道府県と20の指定都市のみが販売できるとされているものです。超利権ビジネスです。

儲かるからと言って私たちが宝くじのようなビジネスをしたらしょっ引かれる違法行為なんです。しかし、”宝くじ”自体はとてもクリーンなイメージを持ってますよね。

こんな、宝くじのようにクリーンな皮をかぶったアコギな商売というのは意外にたくさんあるので一例を紹介させてください。

不安を煽って損をさせても許される保険

その代表例が”保険”でしょう。多くの保険会社の業績を見たらわかるように、保険屋は儲かります。もちろん、リスクを計算し、保険料を決めたりと簡単に作れる事業とは言いませんが。

しかし、保険もまた宝くじのようなものです。多くの人は払った金額以上の対価を受け取ることはできません。保険会社が利益を出していることを考えたら当然ですよね。

宝くじが射幸心を煽って損をさせる商売だとすれば、保険は不安を煽って損をさせる商売と言えるかもしれません。

しかし、保険屋に向かって「お前らは不安を煽って人から金を巻き上げてる!」と叫ぶ狂人にはなかなか出会えませんよね。保険もまた、実態はどうあれ市民権を得ている事業なのです。

「価値を提供すれば嫌われない」は嘘

射幸心や不安を煽って損をさせる商売が市民権を得ているのであれば、どんなビジネスも市民権を得てもいいはずです。

しかし、現実はそうはなってません。

つまり結局のところ、商売の実態がどうであろうと、嫌われるかどうかは”イメージ”に左右されるのです。だって、世間の人にとって「そのビジネスがどういう構造をしているのか?」なんて調べるのは面倒くさく、つまらないですからね。

クリーンに思われるかどうかは、イメージがすべてです。

だから、”クリーンと思われる事業で稼ぎたい”という欲求を持ってしまうと厄介です。あなたの事業実態がクリーンだったとしても世間のイメージがそうでなければ実現できない欲求を抱えることになってしまいますから。

自分が胸を張ってクリーンだと思えるならどんな事業をやってもいい。

世間一般からクリーンに思われるかどうかなんて気にしないでください。あなた自身がクリーンなことをやっていると胸を張れるならそれでいいんです。

射幸心を煽って損をさせたり、不安を煽って課金させる事業が大手を振って歩けてるんですから。安心してください。

余談

保険にまつわる余談

これは有名な話ですが、実店舗を構えている「ほけんの窓口グループ」は売上が約409億円、経常利益約58億円と順調なのに対し、オンライン保険事業を営むライフネット生命は売上260億円、経常利益マイナス32億円と芳しくありません。

普通に考えると、実店舗を持たない方がコスト的に優位性がありそうですが、意外な結果ですよね。

嫌な言い方をすれば、窓口に行って説明をきかないとどの保険に入るべきか分からないような層(情報に疎い層)をターゲットにした場合のほうが儲かり、ネットで見積もりをして自分で判断できる層をターゲットにした場合は利益が残らないということです。

保険が情弱商売と言われる一例として覚えておきましょう。

ほけんの窓口グループ第28期の決算公告より
ライフネット生命保険株式会社_2022年3月期決算短信資料より


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