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ポートフォリオって必要ですか? 〜採用フローから消したポートフォリオの話〜

こんにちは、noteのCDOの宇野です。

今日は、note社のデザイナー採用において、ちょっと思い切った意思決定をしたので、それについて書いてみます。

それは、デザイナーの採用面接時に、ポートフォリオの提出を必須としないことです。


ポートフォリオってなんのためにあるんだっけ?

ひとくちに「デザイナー」といっても様々な職種がありますが、そのほとんどの方がポートフォリオを一度は作ったことがあると思います。まだプロとしての仕事をしていない方でも、入社時にポートフォリオの提出を求められることがほとんどです。

ポートフォリオは様々な役割を持ちます。もちろん一番はスキルの展示と証明ですが、その展示を通じて自己表現や成長の記録、専門性の証明などの手段も兼ねています。

それらにおいてポートフォリオは非常に有用な手段であり、今後も必要なものであり続けるでしょう。なので、この記事はポートフォリオは不要であるという趣旨のものではありません

しかし他の方法でも代替ができるのではないかと試行錯誤をしてみた結果のお話です。

なぜポートフォリオ審査をなくしたかったのか

これは実際に過去面接や面談をしてきた方々から上がってきた悩みの声からでした。


用意するのが大変 載せる作品がない できてないから応募できない
ポートフォリオには課題がたくさん 作るのは楽しいんですけどね…

こんな声がたくさん聞かれたからです。デザイナーならばかっこいいものを作らなければならないという思いもあるため大変ですよね。これは明確な課題です。

そこで僕たちはポートフォリオ不要の採用を始めました。 でも、ポートフォリオを見ないからといって、デザイナーのデザイン力を評価しないというわけではありません。むしろそこは強化していくポイントです。

実は、僕たちがポートフォリオに載っているような完成品のクオリティよりも大切にしているものがあります。それはデザインプロセスです。そしてそれはポートフォリオには載っていなかったりそれを表現するのが難しかったりします。

👇ちょうどGoodpatchの土屋さんも書かれてました

そのため、僕らは応募者の方に普段使っているFigmaなどの実際のデザインデータを画面共有して見せてもらいます。 そこから、応募者の方のアイデア、発想力、論理的思考力、実現へのこだわりなどを読み取ります。

もちろん、ポートフォリオがあること自体はウェルカムですしそれもまた一つの作品と言えるでしょう。でも、それだけが評価基準ではありません。 デザイナーの力を多角的に評価することで、より適切なマッチングを目指しています。

「ポートフォリオを作る」という仕事はない

僕たちnoteの仕事の中には「ポートフォリオを作る」という仕事はありません。特にデジタルのプロダクトデザイナーならなおさらです。そこがゴールの仕事があれば一つの判断基準になりますが、それが無いならばもっと普段の仕事に近い形のものを見たいと思うのです。

その仕事を言語化してドキュメントに落とすというのも大切な能力ですし、それ自体は評価されるべきことです。そしてそのプロセスを見事に表現したポートフォリオを作られている方もいます。それができた方は自信をもってポートフォリオを活用してください!

もっとお互いを深く知りたい

noteの面接では、デザインについての深い対話を重視しています。 先ほどのプロセスに近い話ですが、どのように思考し結論に至ったかを重視します。そのため実際の仕事に近い形で、アイデアを出し合いディスカッションします

例)

  1. Figmaなどの資料を見ながら、そのデザインについて語り合う

  2. PdMも同席し、多様な視点からアイデアのフィードバックを行う

  3. お互いの考え方や、一緒に働くイメージを膨らませる

これにより、デザイナーの思考プロセスや、コミュニケーション力、チームワーク力などを総合的に判断できます。 また、応募者の方にも、noteのデザインチームの雰囲気を肌で感じられるのです。

実際にこの方法は面接担当者にも受けがよく、「一緒に働いている様子をリアルに想像できた」と言われています。

これは僕たち選考者側も見定められている状態です。正しくそのデザインの意図を理解し質問をできているかによって、「この人はここまで理解できたいのか」「この人たちとデザインしたらもっと良いデザインができる」と思ってもらわなければなりません。とても緊張する時間です。

ポートフォリオだけでは見えないデザイナーの資質

noteが求めるデザイナーの資質は、以下の4つです。

  1. 自分だけでなく、他者の意見も積極的に取り入れられる協調性

  2. アイデアをどんどん形にして共有し、フィードバックを受け止める柔軟性

  3. 常に "Why" を意識し、本質を見抜く洞察力

  4. 課題にすぐに取り組み、やり抜く実行力

これはデザイナーに限らずみんながもっている力とも言えるでしょう。noteのデザインはデザイナーだけで作りません。あらゆる多面的な要素を加味したうえで作り上げられるものです。

そのため、デザイナーがデザインを自分たちのものだけにするのを望みませんし、他職種の人がデザインをデザイナーに丸投げするのも許しません。

一見効率が悪く見えるかもしれませんが、長期的な視点で見ると、noteらしいプロダクトを作る秘訣だと考えています。

求職者の方が普段どのようにデザインしているかを知ることでこれらを理解するともに、僕たちnoteのデザインに対するスタンスを伝える場にもなっています。


ということで、ポートフォリオが無いけど実務経験はバッチリだよ!というデザイナーの皆さん。今すぐこちからポチっと応募しちゃいましょう!!

カジュアル面談は僕宛てにXでDMください

https://twitter.com/saladdays

ご応募お待ちしています!

蛇足

こんな心配はポートフォリオを作らなければ起こりません!笑


頂いたサポートは次なるUIデザインやその記事に役立たせて頂ければと思います!