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デザインと事業成長の好循環をつくる秘密 〜noteの『ズル』ができないプラットフォーム体験の裏側〜

こんにちは。noteのCDO(Chief Design Officer)の宇野です。

今日は日ごろ面談をしていてよく質問をいただく、noteの事業と体験のデザインの密接な関係についてお話しましょう。

僕らは上場企業として利益を上げるという責任を持っています。とはいえ売上を上げるためにユーザー体験やデザインを犠牲にすることはなく「きれいな世界」ができているのはなぜなのか?これについてよく質問を頂くのです。
今回は事業KPIとユーザー体験の両立をnoteがどのようにしているのかについて、CDOの目線から説明します。

まず前提としてあるのは、僕たちnoteが掲げるnoteのミッションとそれを実現するためのグロースサイクルです。


すべてはミッションから始まる

だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。

ミッション・ビジョン・バリュー

これがnoteのミッションです。この簡潔な一文に、僕たちの存在意義が凝縮されています。

このミッションは、創作活動を特別な才能や環境を持つ人だけのものではなく、誰もが参加できる、そして続けられるものにしたいという僕たちの強い思いを表しています。

グロースサイクル

そしてこのミッションを具体化し、実現するために僕たちが設計したのが「グロースサイクル」です。

noteのグロースサイクル図

このサイクルは、クリエイターを起点とした循環型の成長モデルです。noteでは、何かを生み出す(創作をする)人を「クリエイター」と呼んでいます。つくるもの種類や大小に関わりません。つまり、プロのライターさんから、趣味で詩を書く人、日々の思いを綴る人まで、全ての人がクリエイターなんです。

社内のKPIの推移やなにかの施策を考えるとき、更には未来の戦略まで、基本はすべてこのグロースサイクルを基軸として考えています。

クリエイター中心の循環

このグロースサイクルの特徴は、全てがクリエイターから始まる点です。CtoCのサービスは常に「書く人」と「読む人」のどちらから増やしていくべきかという「鶏が先か、卵が先か」という議論に悩まされます。しかし僕たちnoteは「書く人」つまりクリエイターからこのサイクルを始めることに決めました。

これは、僕たちのCreator Firstというバリューにも通じています。

・クリエイター視点で考えよう / Creator First
note株式会社の事業の原点はクリエイターにあります。note株式会社のメンバーは、創作にかかわるすべてのひとと対話しながら、作品をつくること、つなげること、とどけることを手助けする方法を考えて実行します。

ミッション・ビジョン・バリュー

クリエイターが作品を生み出し、それが読者に届き、共有/購入され、そして新たなクリエイターが生まれる...この循環を太くしていくことが、noteの成長につながると僕たちは考えています。

この考え方は、一見遠回りに思えるかもしれません。例えば、有料記事の購入ボタンを目立たせれば一時的に売上は増えるでしょう。でも、それによってユーザー体験が損なわれ、長期的には利用者が減ってしまうかもしれない。僕たちは、短期的な数字の向上だけでなく、成長し続けるプラットフォームであることが前提であり、サイクル全体の健全な成長を目指しています。

大きなな視点をなぜ持ち続けることができるのか

このサイクルを機能させるには、プロダクト全体を見渡す大きな視点が必要です。一つの指標だけを最大化するのではなく、サイクル全体のバランスを考えながら施策を打っています。

例えば読者だけが集まったとしても、来てくれた人たちが読みたいコンテンツがそこになければ去っていってしまうでしょう。

これは言い換えれば、「ズル」ができない仕組みでもあります。短期的な数字の上昇を狙った施策が、長期的には逆効果になることもあるからです。でも、これこそが健全な成長につながる「綺麗な循環」だと僕は考えています。

そのため最近話題のダークパターンも、必然的に生まれにくくなっているのもプロダクトの魅力の一つです。

とはいえもちろん、僕たちも短期的な指標を持っています。でも、それらの指標がどのように長期的な成長につながるのかを常に意識しています。今後も持続的に成長できることを前提に施策を考え、短期でもも中長期でも成長しなければなりません。

これを象徴する好きなエピソードを一つ。僕が以前noteのCFOである鹿島にその当時の目標について聞いたときの話です。

宇野:「売上とユーザー体験と、どちらかと言われたらどちらを優先しますか?」

鹿島:「どちらもです」

これは質問に答えていないように思えるのですが(笑)
そのあときちんと補足をしてくれました。

鹿島:「noteが一定の成功をしているのはUXやデザインが優れているからだと考えている。そしてそれを土台にして今のnoteの売上がある。つまりユーザー体験が損なわれることは長期的に見て売上が減るということになるからです。」

こんなことをCFOが言ってくれる会社最高じゃないですか?まあ結果として難易度は上がっているんですが😅これを本気で目指しているのがnoteの良いところであり楽しいところだと思います。

noteにおいてのデザイナーの役割

この考え方は、noteで働くデザイナーの役割にも大きな影響を与えています。デザイナーは、クリエイターの目線に立ち、クリエイターに向き合うことができる環境があるからです。

クリエイターを知り、クリエイターの視点を持ち、自らもクリエイターとなって、そのためのプラットフォームを作る。これが、現在のnoteでデザイナーが担う重要な役割です。

とはいえ一方でデザイナーでも売上へのコミットは求められます。それはなぜかというと、会社の利益以前にミッションの達成に不可欠であるためです。

noteの売上はまだまだ成長過程であり全く少ないものだと考えています。もちろん会社の利益を増やすというのも大事ですが、それ以上にnoteの収益の大半は有料記事の手数料によるものですので、つまりその売上が少ないとうことはクリエイターへの還元が少ないということを意味します。

無料/有料の記事にかかわらず、僕たちはnoteで創作を続けるためには、それだけの価値を与えていきたいと考えています。そのうちの一つの要素が金銭による報酬であり、そこを最大化していくことがミッションの達成につながると考えているためです。

クリエイターを後押しするということは、結果として売上という結果指標に向き合う必要があるわけです。

今後の課題と展望

僕たちは、「書きやすさ」「読みやすさ」についてはある程度の成果を上げてきたと自負しています。たくさんの方に愛して頂いている大きな要因でしょう。
でも、本当の意味でこのグロースサイクルを回すには、まだまだ改善の余地があると考えています。

特に重要なのは、noteに書いてよかったと思われるような、noteならではの意味ある体験を作り出すことです。単に文章を公開しシェアできるサービスではなく、クリエイターが自身の創作活動に新たな価値を見出せるような仕組みづくりが必要なんです。

  • noteで書いたからたくさんの人に読んでもらえた

  • noteで書いたことをきっかけに本が出た

  • 自分しか興味がないと思っていた趣味のことをnoteで書いたら、コメントをもらえて友だちができた

こんな「noteで書いた」から得られる幸せを増やしていきたいと考えています。

グロースサイクルを真に機能させるためには、こうした「noteだからこそ」の体験を作り出し、クリエイターと読者の双方にとって価値ある場所となることが不可欠です。これらの課題に取り組むことで、noteは単なる執筆プラットフォームを超えた、創作活動の中心地となることを目指しているんです。

終わりに

noteが最終的に目指すのは、誰もがクリエイターになり、創作を続けられるプラットフォームです。この目標に向かって、まだ道半ばですが、僕たちは着実に前進を続けています。

ユーザー目線とクリエイター目線でのものづくりに情熱を持つ人にとって、noteは最高の環境だと僕は確信しています。創作の民主化という大きなミッションに共感し、共に歩んでいける仲間を、僕たちは常に求めています。

僕たちと一緒に、創作の新しい未来を作り上げていきませんか?

ご興味があればぜひお気軽にご連絡ください!


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宇野雄 / note inc. CDO
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