虎に翼59話(重遠の孫)
花江「脈が弱くって、夜を越せるかどうか分からないって..」
はる「..何にも悔いは.....」
花江「...道男くん?」
「寅ちゃん、道男くんを探して!」
寅子「お母さんが危ないの..最期に道男に逢いたいって言ってるの」
道男「そんな事言う訳ないだろ、婆ちゃんが。 とっ捕まえて、締め上げる気だろ」
寅子「..貴方にはひとの心ってものが無いの⁈ いいから、一緒に来て」
道男「散々虫けら扱いしてきたの、そっちだろ⁉︎」
寅子「してない‼︎」
道男「自分で分かってんだよ。オレはどこに居ても邪魔者なんだよ。戦争なんか始まるずっと前から」
「父ちゃんは呑んだくれで、オレと母ちゃんの事、いつも殴ってて。その母ちゃんは、空襲の時 オレを置いて父ちゃんを探しに行って、そのまま二人とも...」
「あんたら大人は、都合が悪くなると、オレから逃げたり、捨てたりするんだよ。
だから、一人でいる方がマシなんだよ」
寅子「私の家族から逃げたのは道男でしょうが」
寅子「誰でも失敗はするの、大人もアンタも。でも真っ当な大人はね、一度や二度の失敗で、子供の手を離さないの、離せないの。関わったらずーっと心配なの」
道男「かっこ付けんなよ。母親の為に探しに来ただけのくせに」
寅子「だったら何⁉︎」
「母さんはね、私が出会ってきた中で、一番真っ当で優しい人なの。だから今、アンタの事が気になって 仕方ないの。このままじゃ、最後に絶対悔いが残っちゃう..
会ってくれたなら、その後は道男の好きにすればいい。
だからお願い。ずっとずっと心配ばかり掛けて来たの。
最後の願いくらい叶えてあげたいの、だから...お願いします」
はる「道男、こっちへいらっしゃい..
おいで...
いいから。
よくここまで、一人で生きて来たね」
道男「お婆ちゃん、死ぬのかよ」
はる「死ぬ」
道男「死ぬなよ、じゃあ、オレ一人じゃん」
はる「そりゃぁ、これから先の道男しだい。全てを突っぱねちゃダメ」
はる「..それ以外の日記は燃やしてちょうだい...」
「これで良い、これで」
(全てに 段取り良いはる)
寅子「ヤダ、死んじゃヤダ。..お母さんいなかったらアタシ...」
はる「地獄だ、やめろって言っても、好き勝手に飛び回ってたの、貴方じゃない」
はる「寅子、花江さん...
色んな事があった人生だったけど、悔いは何一つない..」
寅子「ヤダ〜」
はる「ト…モ…コ〜 はい と言いなさい はい と...」
光
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