虎に翼117話(一美)
山田 轟 法律事務所
「あたしも 一杯もらえる?
この人がウワサの寅ちゃんさん よね」
轟「紹介 し遅れたが
今、事務所を手伝ってくれてる 美位子さんだ」
美位子「手伝って…っていうか 居候させてもらってるだけ 今、弁護をお願いしていて…」
寅子「弁護?」
美位子「・・・実は
あたし 父親 殺しちゃって」
寅子「え…」
梅子さん 美位子さんは
ここで事務所を出る
帰り際に
美位子「よねさん 轟さん
あたしのこと何でも話していいからね」
………
よね「あいつは尊属殺人罪で起訴されて、つい先日
保釈が認められたんだ。
どうせ知ることになる。
新聞や雑誌の 恰好のネタになるのは 時間の問題だ」
轟「美位子さんは 父親からの おぞましい体験に耐えてきた。
母親が家を出てから
何年も 彼女は・・・
父親と 夫婦同然で暮らすことを余儀なくされ…
二人も 子どもを産まされた。
仕事先で 恋人ができた美位子さんは "相手と結婚しよう"としたが
父親は怒り狂い
彼女を閉じ込め
暴力を振るい
そして……」
寅子「尊属殺人の依頼を
受けた ということは…」
よね「『刑法200条 尊属殺人罪は憲法14条に違反している』と主張する。
刑法199条の殺人罪を適用し、さらに正当防衛 もしくは緊急避難で 減刑を訴える」
轟「憲法判断を争う限り
最高裁まで行くだろう」
よね「私たちは最後まで闘う。こんな理不尽 許されてたまるか‼︎」
昭和25年
尊属殺人罪の重罰規定を
定めた刑法200条は
"憲法に違反してない"とする判決が最高裁で言い渡された。
*第68話より↓
刑法における尊属殺の量刑は、
それ以外の殺人の量刑より重いもの(=死刑または無期懲役のみ)となっている。
「重罪を課す尊属殺の規定は 憲法に反する」と
訴えたのは
最高裁判事15人の中で矢野さんという判事と
穂高先生の
2人だけ。
………
よね達は
今『憲法に違反してない とする判決』をくつがえそうとしている。
今ならば 18年前の判決は
変わるのか?
…………………
昭和44年3月
安田講堂事件の逮捕者のうち 20歳未満の少年たちが
続々と家庭裁判所に送致されてきた。
寅子「初めまして 佐田寅子です。確か…火炎ビンでケガをしたのよね 大丈夫?
体調はいかが? 」
少年「気安く 話かけんな!
権威主義の犬どもが💢‼︎」
寅子「まぁ そうなるわよねぇ」
少年「はぁ」
寅子「とにかく きちんと
食事をして 元気でいてね
今日は そのことだけ伝えられたら充分だわ」
家裁の判事たちは思っていた。
社会や大人への怒り💢
その気持ちは 痛いほど
わかる。
だからこそ じっくり向き合いたい。
ライアン「君は 凶器準備集合 及び 公務執行妨害で捕らえられている。
君は将来 何になりたいんだい?」
少年は涙声で…
「…泣 公認会計士 」
向き合えば 向き合うほど
少年少女たちの更生の道を
みつけられる
そう 確信していた。
…………
最高裁判所で…
「汐見判事!」
呼び止めたのは反町だった。
反町は 党幹事長の秘書をしていた。
反町が近づいて来て
汐見に 耳うち…
反町「・・実は… 寒河江(さがえ)幹事長の地元の名士が
憤慨しておりまして…」
*反町は 幹事長から回されて最高裁に来ていた
*しかし、この反町っていう人物は、常に強い者に尾を振って…
それこそ
少年が寅子に放った
"権威主義の犬どもが‼︎"
だわ
こんなふうに
自分が無くて
長いものに 巻かれて生きるだけ の人間も居るところには居るのねぇ
:一美
…………………
長官室
汐見「その名士の息子は
21歳で 未だ拘留されていて
地裁での裁判を待っているそうです」
桂場「家裁への不満か」
汐見「家裁に送致された
少年の多くが不処分と なっている。同じ罪を犯しておきながら たった 1、2歳の年の差で ここ迄 異う処遇となるのも いかがなものか と」
*平等感が、思考でねじれているよう…
平等というよりも
"一律"に走ってるような…
:一美
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