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虎に翼79話(一美)

法の申し子

航一
「思い出にできるほど
お兄さんの死を受け入れてなかったんでしょうね」

次郎「そだども  もう何年も前に戦死の知らせは届いている訳ですから」

航一「死を知るのと  受け入れるのと違う
事実にフタをしなければ
生きていけない人も居ます」
*悲し過ぎて ね
       一美

寅子「だから 語りたくないし…
語られたくない」

次郎「皆、戦争で 誰かしら大事な人を亡くしている訳ですから  
いい大人ですし
そこは乗り越えていかねぇと」

航一「なるほど  『↑そう言われる』と わかっているから
彼は  乗り越えたフリをするしかなかったんでしょうね」

次郎   退席

寅子「自分の話をされてるよう…でした」

寅子「私も… 娘に "夫の話"ができなくて…
話を聞きたがっているのに
でも…できなくて…
仕事ばかりしていたせいで
娘との間に大きな溝ができてしまっていて… だから
溝を埋められるのならば…
話せるようには なりたいと…」

航一「僕は  どちらか といえば溝を自らつくりに行くタチです
でも佐田さんは  溝を埋めようと
必死にもがいていて
とんでもなく 諦めが悪いですね」

航一「あ、すみません
褒めたつもりでした」

航一「では 諦め悪く
頑張ってください


立ち去る星航一を 見送る
寅子の まなざし

………………
自宅への帰り道

偶然 会った高瀬に声をかける

寅子「本当に本が好きなのね」

寅子「私の弟もね  そんな目で本を読むのよ。よかったわ お会いできて」

高瀬「謝りませんよ  ズル休みも  昨日のことも」

寅子高瀬さん ごめんなさい…
私 この先もきっと波風を立ててしまう
あなたが嫌でも…
高瀬さんの為に
上司として
人として
できることをしたい
と 思ってしまう」

高瀬「"変わる" と思ったんです。
・勉強を頑張れば
・大学に行けば
・卒業すれば
・書記官になれば

*周りが…
*毎日の息苦しさが…

らども…
どこに行っても 同じだった」

*そうなのよね
自分が変わらない限り
実は  な〜んにも、
何一つ 変わらない。
これは原理だから…

周りを 変えようとしても、
条件を揃えて
外側を なんとかしよう としても
なんとも ならない

自分が変わる
本当の自分を知る

外側に映る全ては
自分の反映 だから
      一美
                           
*ドラマに戻ります

寅子「そんな中でも
仕事の手は抜かず
一生懸命 頑張っていて
高瀬さんが居ないと 仕事が回らなくて大変なんだから」
………………
「おはようございます」

翌日 高瀬
一番に登庁

寅子高瀬さん  例の調停の件で お願いがあるんだけど…
まだ、過去の判例など
調べが尽くせてない ように思うの。
資料の保管庫を案内してくださらない?」

高瀬「わかりました。行きましょう」

高瀬「支部長ーっ 支部長‼︎
図書館で見つけました。
あの辺りの境界線が書かれた  明和8年の古文書です」

寅子「明和8年  江戸時代…」

寅子高瀬の様子を見てる
太郎 次郎 兄弟は
(ん〜マズいことが起きたぞ )

…………
調停で…
「今日は佐田裁判官より
お二人に いくつか質問をさせていただければ  と…」

「では  始めに…」
と、寅子が言ったや否や
すかさず
太郎弁護士が  話の腰を折る
太郎「実は 新たな証拠が見つかりました。
↑こちら
森口さん とこの蔵の奥の奥底に眠っていました。
明治初期に近隣5村との間でつくられた『地境協定文書』です。
その文書に記されていた
山林の境界は
森口さんの主張とも
さんの主張とも
食い違っています。
ま、おそらく
売買などで
一つの土地を分けて
登記し直す事が 繰り返された結果  公図が誤った記載になってしまったもの と推測されます。つまり
森口さんも さんも
先人達の誤りに翻弄された被害者なんですよ」

寅子「こちらの信憑性や
証拠に値するのか を調べましょう。
さんも ご確認されたいでしょうし」
即座に 太郎弁護士
「では〜  条件だけ確認し合って これにて円満解決  ということで  
へっへっへっへっへぇ〜   あ〜〜よかった よかった」
パチパチパチパチ
………………
高瀬「事前に話し合いを済ませて来たってことですね。
あの人達がやりそうな事だ…」

寅子「あんなに争っていたのにね」

高瀬「お互いに 旨味のある取引きが されたんですかねぇ」
……………
太郎弁護士「つまりぃ  丸く収まって良(い)かった って事だて」

寅子杉田弁護士は  いつから  あの協定文書の存在を
ご存知だったんですか?」

杉田太郎「都会と 違(ち)ごて
ここじゃ 人の繋がりが
深っけて 濃いん ですて」

太郎「ここらのモンが
むやみにイガミ合わね ように  
守ってるんですて
この土地流のやり方でね
(高瀬に) おめ〜さんが訴えれる事はねぇで  安心せぇて
ここじゃ 持ちつ持たれつ

寅子「いいえ  いけません
高瀬さんは 書記官として
あるまじき行動をした。
それは しっかりと処分されなければ裁判所の信頼に関わります。
森口さんにも お伝えください。
この暴行の 一件は
こちらでキチンと処分します  と」。

*寅子はきれいな水源を
守れるか
                        一美















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