虎に翼81話(一美)

航一「こちらです」

店の前に立った 寅子  

「ライトハウス…
　　　燈台……」

店内には

「涼子様…」    声に出す寅子

昭和27年
寅子と涼子  14年振りの再会

玉ちゃんを連れて来る 涼子
玉ちゃんは車椅子だった。

「寅子さん ご無沙汰しております。驚かせて申し訳ありません。空襲の時のケガです」と 玉ちゃん。
………
「う〜〜んっ！涼子様
サイコーです！」

涼子「ようございました」

ハヤシライスは航一から
聞いていた通りの"美味しさ"
寅子「航一さんが ごひいきなのも納得です」
…………
日本国憲法第14条  2項に
『華族 その他の貴族の制度は これを認めない」
涼子の身に 何が起こり
この地に辿り着いたのか…
………
＊夫、光の母 岩佐美代子さんの旧姓は穂積。(美代子お母さまは 穂高重親のモデルの穂積重遠の次女です)
穂積重遠は
夫 光の 母方のおじいちゃん。
穂積重遠も男爵でしたが
家はそのまま。
新宿の牛込払方で、
払方の家は  今も在って
お母さまも
夫の 光も
払方で生まれて育っています。
                               一美

………………
新潟本庁  刑事部で…

航一「こちらが担当していただく事件の起訴状です」

寅子「あ〜ぁ 少年が殴られて大怪我を…」

入倉「あ〜佐田さんは家裁におられましたし 最初はガキ絡みの事件は いいかもしれませんね」

寅子「……入倉さん  ガキという言い方はどうかな…?」

入倉「そう呼ばれて仕方ない連中ですよ。ロクでもない少年事件が増えましたし…ねぇ」

寅子「呼び方はともかく  
家裁での自分の経験を活かして 精一杯 頑張ります」
……………
玉ちゃんは英語を教えていた。

玉ちゃん「では  読んでみましょう。サン はいっ！」

玉ちゃん「Good！ さて…
ここの……」

涼子「東京の大学や国立大学を目指す生徒さんに、
玉の英語の授業は とっても人気があるのよ」

「あの〜佐田先生でいらっしゃいますか?
突然申し訳ございません。
森口美佐江と申します
以前  父が……」
声をかけて来る女学生

寅子「森口って…あの(暴言の) 森口さんの…?」

涼子「美佐江さんは東京の大学、しかも法学部を志望していらっしゃるんです」

美佐江「はい」

寅子「じゃあ  これから私たちの後輩なるんですね」

美佐江「ええ  では失礼します」

寅子「嬉しくなりますね
ああいうお嬢さん見ると…」

………………
寅子 帰宅
「ただいまぁ  遅くなってごめんね」

優未「おかえんなさーい」

「寅子さん  おかえりなさい」

寅子「えっ!」

「ご無沙汰しております」
寅子「ええーっ！」

家で待ってたのは
花江の実家で女中さんをしていた 稲さん。

稲「花江お嬢さまから 寅子さんをお手伝いしてあげて欲しいと…」

寅子「花江が……?」

花江からの手紙を渡す 優未

手紙には…
「本庁に行くというのは
優未を夜遅くまで 一人にするということ。正直  とっても心配だわぁ。
そう思ったから 稲さんに
お手伝いをお願いしました」
…………

稲「優未さんも きっと優しくて  おしゃべりが上手で  小学校で人気者なんでしょうね」

優未「違うよ」
寅子「え  」
優未「私  友達いないよ」
寅子「えっ　居ない って…」
優未「学校の子   ずっと
一緒に居ると疲れる」

優未「私  お風呂に入ってくる」
……

稲「まぁ  本人が『平気だ』と言ってますから
そっとしておくのが よろしいか…と」

寅子「そう…でしょうか…  」

稲「寅子さん  よかったら  またいつでも私を呼んでくださいね。
歳はとりましたけど
ご飯や お掃除くらいなんともありませんから
何事も 一人で抱え込むのは良くないですよ」

寅子「でも……」
寅子「でしたら毎週水曜日に本庁に出向きますので
その時と…
仕事で どうしようもない時は お願いしたいのですが…
もちろんお給料はお支払いします」

稲「そんな…私がしたくて
することですから」
寅子「いえ  それだけは譲れません」

＊寅ちゃん
学びましたね
「裁判官っていうのは
そういう仕事だ」と
　　　　　　　一美

……………
よく朝
「おはようございまーす」

寅子(昔から 友だちは居なかったけど…平気  と 言われても……)
↑
声には出してない(の だけれど…)

優未「だから意地悪されてないよ」
寅子「えっ  」
優未「それが聞きたいんでしょ」

寅子(いゃ〜そういう訳じゃ…)

寅子「自分から もっと声をかけてみたら？
お友だちなれるかも
優未だって  そのほうが
学校が より楽しくなるんじゃない?」

優未(ふてくされた様子で)
「わかったよ〜
先  行くね」

おりこうさんのフリをされるよりは  マシだけど…

親とは また異った
個性だから…ね
子ども  って…

                              一美