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虎に翼88話(一美)

航一「全ての事件に公平でいるなんて無理ですよ
もちろん感情が法を越えては いけません。
でも  裁判官だって人間です
揺れ動くのは当然だ
先人たちは
それもわかっているから
合議制をつくったのでは…」

…………………
読み上げます
(兄、顕沫から 弟の広沫への
手紙)

広沫 きちんとご飯は食べているか
眠れているか
  中略
迷惑をかけて済まない

私が中を完全に燃やして
しまったせいで…


……………………
入倉バカですね
あんな手紙を送るなんて」

寅子そうなのよねぇ…」
入倉「えっ」
寅子「わざわざ  あんな手紙 送るかしら…?
文章も ちょっと不自然というか…」

入倉「朝鮮語だから バレない と思ったんですよ
被告人は なんの反応もしないで 黙り込んだじゃないですか」
……………………
支部で…

私が 中を完全に燃やしてしまったせいで…

私が 中を完全に燃やしてしまったせいで…

私が 中を完全に燃やしてしまったせいで…

が、寅子の頭の中で
こだま する…

その時
「失礼します」
小野知子が入って来る

用件を済ませて
立ち去ろうとする 小野

小野さん」
寅子は呼び止める

寅子「朝鮮の言葉で
火をつける
とか
燃やす
って  どうやって書くのか
聞いてもいいかしら?」

小野「簡単な言葉らったら話せますが、読み書き
あんまり自信が無いんで…」
と、言いながら
小野
燃やす  の
文字を書く。
…………………
次の日曜日

優未さんとお出かけ

その後
「ごめんください」
佐田宅を訪ねて来たのは
なんと!
汐見香子

悩みに悩んだ 末に
寅子は思い切って
ヒャンスクに救けを求めた

寅子「失礼なことは わかってるの だから…引き受けてもらえるとは思わなかった」

香子「手紙をもらった時は驚いた   けど…
二人で話し合って…」

汐見「あの…それで
香子に読んで欲しい手紙というのは…」

手紙を読みながら
涙ぐむ香子
「ごめんなさい  
とても悲しい手紙なので…」

手紙には…

広沫 きちんとご飯は食べているか
眠れているか
中略
迷惑をかけて 済まない
私は  気を揉ませてしまったせいで
心配をかけたから

* 一美:ん…⁉︎

読み続ける 香子
「私のせいで…

寅子待って‼︎
気を揉ませた せいで…
"気を揉ませて"って
書いてあるの⁉

香子「どうしたの⁉︎」

寅子「まさに その部分
引っ掛かっていたの」

*提出された 内容
私が 『中を 完全に燃やしてしまったせいで

寅子「この↑言葉には
燃やす  という意味が有るでしょう」

香子テウダって言葉には
ちゃんの言う通り
燃やす

焼く  と言う意味がある。
でも…
テウダの上に
ソグウ←(何かの中 )と言う
意味がくっつくと…
気を揉ませる
・心を苦しめる
という慣用句になる」

寅子「それを…
『中を 完全に燃やしてしまった 』誤訳していた…」

汐見「でも…そんな翻訳
出たら  被告人自身が反応するんじゃないかな…?」

寅子「それは
そうなんですよね…」

香子諦めちゃったんじゃないでしょうか
日本で懸命に働いても
ずっと異国人扱いで…

居場所も無く
味方も居なくて

抵抗しても
更に悪いことが起きそうで

だから…
少しだけ自分と重ねてしまって…」

寅子しんどい思いさせてしまって  ごめんなさい」

その時   物音が…
玄関を開けると
そこには
小野知子が立っていた
                     一美









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