ロックダウン

ロックダウン、この言葉を最近よく聞くようになった。COVID 19、新型コロナウィルスの大都市での集団感染を防ぐために大都市への流入、流出を止める対策の事だ。
コロナウィルスのさらなる蔓延を防ぐためには必要な手段のようにも思える。

ロックダウンとは自分にとって死の可能性をも意味する言葉に聞こえる。自分は、特定疾患の自己免疫疾患の患者である。このあたりの経緯は、後日書くとするとして、先ずは非常に簡単な自己紹介をする。
神奈川在住、視覚障害者二級、特定疾患の自己免疫疾患患者である。
珍しい病気なのだが、要は自分の免疫が自分を攻撃し、様々な障害をもたらすというものだ。視覚障害もそれに起因する。
病気発症から約20年。一度は、心肺停止になったこともあったのだが、15年程前から東京大学医学部附属病院にかかり、13年程前に自分の病気に対しては東大としては初めてある免疫抑制剤の薬をはじめは大学の研究費から点滴投与し、それが功を奏し、今では6週間おきにその点滴を受けて何とか日々を生きながらえている。

勿論、その点滴だけではなく、ステロイドをはじめ、様々な免疫抑制剤を服用している。そうしないと生きていけないのだ。決して悲観してはいない、そういう人生もあるのだ、と今は考えている。自分の病気は治る事はなく一生薬を使いながら付き合っていくしかないものなのだ。

さて、そういう病気を持った自分だが、人々が半分面白おかしく、東京のロックダウンの話をしているのを聞き、見て、非常に自分の生命の危機を感じる。
日本で東京大学医学部附属病院に来る人々とは、殆どが地方、私立の病院ではお手上げになり日本の医療の最高峰にやっとたどり着いた人々である。聞くところによれば、新潟から東大の医療を受けに定期的に来ている人もいるとのことだ。
勿論自分もその一人で、色々な私立の病院をたらい回しにされ、やっと東京大学医学部附属病院に助けを得て、半ば実験台のようにでもあったが、最先端の医療にたどり着いた。

しかし、その治療も根本治療ではなく、6週間おきにその点滴を受けなければ、また心肺停止になる可能性は高くなる。

つまり東京大学医学部附属病院に神奈川から行けないというのは、自分が原病によって死ぬ恐怖を覚えることなのだ。

鉄道を止めろとか、色々聞こえてくるが、ではこういう少数の難病患者は黙って死ね、という事なのか?ニューヨークやパリのような人っ子一人いない風景ばかりテレビで映されると、自分のような少数者は、既に命の選別、トリアージが日本でも始まるのではないかという不安に襲われる。

このような弱者にも行き届く、行政の丁寧な説明が欲しいところである。

2020 3/31

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?