![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/108814972/picture_pc_1b474e1044f29aec5a30f7445a4670ff.jpg?width=800)
「あーついなぁ。」
「あーついねぇ。」
体育終わりの
僅かな休み時間
君が下敷きで仰ぐ風は
ベコベコと小気味良いリズムで
ほのかに香る
汗拭きシートのシトラスに
夏休みの足音を感じる
黒板横のカレンダーを
眺めた君が
ぽつりと呟く
「今日、夏至なんだね。」
「南中高度。」
「言いたいだけっしょ。」
頬杖を付いたまま
半笑いで言い返されて
少し悔しい
うつ伏せの体を起こして
君の薄い右頬へ
人差し指で
優しく反撃を試みる
「げしっ。」
「…言いたいだけっしょ。」
押された頬とタコ唇のまま
瞳を閉じて笑う君は
梅雨空に差す薄日のようで
僕の心を
そっと照らした
#詩 #散文 #夏至 #空