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『夏至』


「あーついなぁ。」

「あーついねぇ。」

体育終わりの
僅かな休み時間

君が下敷きで仰ぐ風は
ベコベコと小気味良いリズムで

ほのかに香る
汗拭きシートのシトラスに
夏休みの足音を感じる

黒板横のカレンダーを
眺めた君が
ぽつりと呟く

「今日、夏至なんだね。」

「南中高度。」

「言いたいだけっしょ。」

頬杖を付いたまま
半笑いで言い返されて
少し悔しい

うつ伏せの体を起こして
君の薄い右頬へ
人差し指で
優しく反撃を試みる

「げしっ。」

「…言いたいだけっしょ。」

押された頬とタコ唇のまま
瞳を閉じて笑う君は
梅雨空に差す薄日のようで

僕の心を
そっと照らした

#詩 #散文 #夏至 #空

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