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『休』


「こんな暑い日に
 部活の外周なんて。」

坂の上までようやく辿り着き、
張り切りすぎな太陽に愚痴を溢す。

他の部活の掛け声が、
近付いてきた。

よれよれで膝に手を付く自分が、
君の目に止まらないように、
タオルを口にあてて、下を向く。

ふと、足元に佇む
ビタミンカラーと目が合った。

軽やかな明るさに惹かれ、
思わず手を伸ばしたその一瞬。
駆け抜けていく君の
眩しい風が舞い込んでくる。

触れ損ねた大輪の花は、
一度大きく傾いた後に、
私の指先を優しく撫でてくれた。

「悪い!揺らした!」

風の先からの一言は、
私の弾む鼓動を休ませてはくれない。

暑い五月の午後だった。

#言葉の添え木 #詩 #花 #散文 #写真 #ビタミンカラー

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