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「こんな暑い日に
部活の外周なんて。」
坂の上までようやく辿り着き、
張り切りすぎな太陽に愚痴を溢す。
他の部活の掛け声が、
近付いてきた。
よれよれで膝に手を付く自分が、
君の目に止まらないように、
タオルを口にあてて、下を向く。
ふと、足元に佇む
ビタミンカラーと目が合った。
軽やかな明るさに惹かれ、
思わず手を伸ばしたその一瞬。
駆け抜けていく君の
眩しい風が舞い込んでくる。
触れ損ねた大輪の花は、
一度大きく傾いた後に、
私の指先を優しく撫でてくれた。
「悪い!揺らした!」
風の先からの一言は、
私の弾む鼓動を休ませてはくれない。
暑い五月の午後だった。
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