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『星につたえて』読んだ本 ご紹介!

安東みきえ 著 吉田尚令 絵 『星につたえて』アリス館

あらすじ
まだ地球上にクラゲしか生き物がいなかった頃のお話。一匹のクラゲが海に浮かんでいると、通りかかったほうき星から声を掛けられました。楽しい時間を過ごすクラゲとほうき星。でもほうき星は旅を続けねばならず、別れの時がきます。クラゲはほうき星に伝えたい言葉があったのですが、それを言えないまま、ほうき星は去ってしまいます。次にほうき星が地球にくるのは何百年か後。クラゲは待っていましたが、あまりにも長い時間。寿命が尽きる前、クラゲは子供に言葉を託し、その言葉は代々受け継がれていきます。伝えたかった言葉とは? 後に戻ってきたほうき星が目にしたものは? というお話です。

りまのが大切にしている絵本です。かわいい絵ですが、お話は小さな子供が理解するにはちょっと難しいかもしれません。でもいつかこの絵本を思い出し、ああ、そういうことだったのかと分かる時がくれば、その子は人を思うことの大切さに気づいていると思います。それほど深い内容を持つ本です。

初読では再会が叶わない約束の意味が分からず、クラゲが命を終えてしまったことがただただ無念でした。言葉や思いは直接伝えてこそと思うから。でも読み返してみて、年を経るうちに誰が誰に伝えるものだったか忘れられていく中、言葉だけが地球上に生まれた多種多様な生き物に受け継がれ、使われるようになっている。そのことが素敵だな、言葉も思いも素敵だなって感じられました。ほうき星もきっと、幸せな気持ちになったと思います。友達だったクラゲはもういない。でもクラゲが残した思いは感じられたでしょうから。

その言葉を僕はずっと伏せてますけど、それはもしこの絵本を読んでみようと思って下さる方がいらしたら、やっぱり本の中で出合ってほしいと思うからです。想像はつくと思います。ただこの言葉はすぐに連想される love, like だけの意味ではないと思います。素晴らしいっていう敬意、知ってるよっていう理解、出会えたことや今一緒にいられることへの感謝など、様々なニュアンスを込めて、シンプルに一言で伝えられる魔法のような言葉です。大切な人にはもちろん、自信をなくした人、傷ついてしまった人、現実にもがいている人にも届けたい、届いてほしい言葉です。きっと自分を肯定的に捉えられると思うから。

りまのです。
この絵本、お話も詩的で切なくあたたかく、とても素敵なのですが、絵がとても綺麗でかわいらしく、心惹かれます。
空と海と星とクラゲ。特にクラゲがとてもかわいらしいのです。

クラゲのからだのほとんどは、
澄みきった、透明な心だけでできています。

安東みきえ 著 吉田尚令 絵 『星につたえて』アリス館

クラゲを表現したこのような言葉にもグッときてしまいます。
そして、クラゲがほうき星に言いたかった大切な言葉。見開きページの絵と言葉に、つい涙ぐんでしまいます。
みんなにとどいてほしい、きれいな気持ちになれる絵本です。


読んでいただき、ありがとうございます。いつもスキやコメントをいただけたり、光栄にもマガジンに収録していただいているにも関わらず、なかなかお礼の言葉をお伝えできず、心苦しく思っています。
いつもありがとうございます。心から感謝しています。

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