見出し画像

『ミセス・ハリス、パリへ行く』読んだ本 ご紹介!

皆様、こんにちは! 
いつも荒神咲夜 note を読んで下さって、ありがとうございます!
今回から不定期ではありますが、私達が読んだ本をご紹介していこうと思います。題して『読んだ本 ご紹介!』そのまんまです。。。
私達なりに本の魅力を楽しくお伝えできればいいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

第一回は、ポール・ギャリコ著『ミセス・ハリス、パリへ行く』です。

あらすじ
ロンドンで掃除婦として働くハリスおばさんが、仕事先で出合ったクリスチャン・ディオールのドレス。美しさに魅せられたものの、高価すぎる。でもどうしても欲しい。着ることはなくても、自分の物と思うだけで幸せ。クタクタになるまで働いても、ドレスを見れば元気が出るに違いない。
倹約に努めること三年、ちょっぴり幸運もあってパリへ旅立つ。パリでの出会いと人間模様。購入してロンドンに戻ってからの事件、というお話です。

ミニ情報
ハリスおばさんシリーズは全4冊あり、本書はシリーズ第一作です。映画化を期に復刊されたようですが、新訳ではありません。79年の講談社文庫『ハリスおばさんパリへ行く』を現代の読者向けに加筆修正したとあります。また原タイトルは”Mrs. Harris goes to Paris."  ですが、復刊ドットコム版では ”Flowers for Mrs. Harris.” となっています。これは小説を元にしたミュージカルのタイトルで、混同しているようです。講談社文庫、復刊ドットコム、角川文庫すべて同じものです。

主人公が魅力的
ハリスおばさんが暮らしていた当時のイギリスは階級社会。しかし彼女は自分の仕事に誇りを持っています。ドレスなんて分不相応かもしれないけど、自分で貯めたお金で買うんだ。この気概がイイ! 人柄も、親友バターフィールドさんも好きですね。ハリスおばさんって、服が似合う似合わないではなく、何を着ても人柄がにじみ出そうです。妙に服だけ目立つことはないんじゃないかなあ。

特にココ!
この物語を印象深い、余韻の残るものにしているのは、間違いなく最終章です。波乱あり、大団円があります。
最終章の半ばで涙にくれるハリスおばさん。ほんとにもう何てことをしてくれたんだようと思います。手紙とお金をそのままに、鍵を返すところ。気持ちがよく分かる好きなシーンですが、この展開にしたギャリコの意図が分かりませんでした。しかしその後、宝物について考えると思います。
自分でお金を貯めて買ったもの。心のこもった贈り物。何度も手に取り、自分を誇りに、また感謝の気持ちも新たにすることでしょう。ギャリコは宝物は目に見えるものだけではないと言いたいのかもしれません。
心を温かくするのは人の気持ち。そんな気持ちを送り合い、感じとれる。それは何より幸せなことと思います。彼女が最後に手に入れた宝物をぜひご覧になってほしいですが、数十年実直に頑張ってきたのに……この妙な現実味。ギャリコ先生、ちょっと厳しいような。

素敵な物語は終わりが近づくにつれ、人物達と別れるのが寂しくなります。この本もそうでした。ハリスおばさん、マダム・コルベール、ナターシャ、アンドレ・フォーベル、別の本でも、再読でも何度でも会いたい人達です。
よい読書時間を過ごしました。

ここでも取り上げています。↓

また次回お会いしましょう!
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?