困った時の話し方・モノの言い方①「断る」
結論から言いましょう。「断り上手は、説得上手!」なのです。役所などでよく聞くフレーズとして、「決まりですから!」「ダメです!」「できません!」という「断りの言い方」があります。言うまでもなく、このような断りの話し方や言い方では、決して断り上手とは言えません。
日本人の場合、自分が何かを相手に要求した結果、相手から「断られると嫌な感情になる!」というイメージが強く、自分がそうだから相手もそうだろうと、「とりあえずYESと言っておく」「言葉を濁して曖昧にする」などと、断りのコミュニケーションにチャレンジしようとしない場合が多いです。その結果「断り下手」な人がほとんどなのです。
そして、「断り」のコミュニケーションの位置付けとしては、相手からの要求に対して「逆にこちらから説得していく」という高度なコミュニケーションになります。即ち、「断り上手な人とは、説得上手な人」と言えるのです。
役所であれば、できるできないがはっきりしており、できないものを「できる」という訳には行きません。このように勿論できないものはできないのですが、その時の「話し方・モノの言い方」次第で「なんだその言い方は!」と相手を怒らせ、お互いが不快な思いになるか、「ありがとうございます!」と、断ったにもかかわらず、感謝されるのとの「結果の大きな違い」が出てくるのです。
では、断るときのポイントを3つご紹介したいと思います。
⒈【「できません!」という言葉はなるべく後半に持ってくる。】:いきなりの否定的な言葉というのは、相手に反感を抱かせます。まずは「〜ご要望されているのですね。よくわかります。他のお客様でも多いです。」などと「あなたの要求はよくわかります。」「あなただけではない」ということを示し、次に「なぜそうなるのか?」という理由や根拠を示します。この時に重要な「キーワード」が「恐れ入ります。」「お手数ですが、・・・」などの「こちらの要求が通りやすくなるフレーズ」ー「魔法の成句」。あるいは、「お気持ちはよくわかります。」「当然ご心配ですよね!」などの「共感フレーズ」です。
⒉【代案を示す】:コミュニケーションのキーワードは「インタラクティブ」つまり「双方向」です。上記のように「相手の要求」を確認したら、「できない理由と根拠」を説明します。その後に、「但し!」と付け加えて、「ここを変えれば、できます。」などと「条件」や「ヒト・モノ・カネ」あるいは「時・場・状況」などを「〜すれば、〜できますよ!」と「代案」を示してあげましょう。相手は何もわからずにただ自分の利益や感情のままに主張しているのかもしれません。その辺の「見極め」をして、「〜したらいかがですか?」「その代わり〜というメリットもあるのです。」などと、上手に「代案」を示しましょう。
⒊【選択肢を設ける】:代案を示したり、こちらから逆に提案・説得していく時に、どんなに素晴らしい解決策だとしても、やはり「一方的に」進められると、「なんだか言いくるめられているのでは?」「強制されているのでは?」という不安感や懐疑心を抱かせてしまいます。そこで、相手にそのような気持ちを抱かせずに、自然とこちらの提案を聞いてもらうための方法の一つとして、「選択肢を設ける」というのがあります。この時のポイントは「3択」です。「2択」だと「半強制」と取られる可能性が無きにしも非ずです。「3択」にすることで、相手が自分から選んでいこうという気にさせるのです。
この他にも、「断りのコミュニケーション」に関する知識と経験とスキルを持ち併せていないと達成できない人を動かす逆説得のコミュニケーションには、様々な視点からのアプローチとあらゆるコミュニケーションの総合力が必要になってきます。まずは上記のポイントから実践して、経験を通じて「断り」のコミュニケーション能力に磨きをかけていってください。