効果的な「言いかえ」のためのフレーズ:その②「たとえば、・・・」
このフレーズを頻繁に使うという人は、間違いなく「説明上手な人」と言えます。なぜならば、「例えば、・・・」というフレーズは、「相手にわかってもらおう」という気持ちがなければ決して出てこない言葉だからなのです。
なぜならば、「説明」の定義とは、「相手の知りたいところに焦点を絞って、相手にわかってもらうことを目的としたコミュニケーションの機能」だからです。相手にわかってもらおうとする時には、当然ですが、相手にとって理解しやすいように、相手にとって「身近な事例」を使って「例えば、○○さんの場合ですと、このようなことはありませんか?」「今回のご提案とは、例えてみれば今ご紹介した事例の〜〜のようなものなのです。」などと伝えて行きます。
「例えば、・・・」と「事例」を出して「一言で伝え手が伝えたい事」つまり「主題を伝える」というのが話の最大のコツです。多くの場合、「事例を!」話してしまう人が殆どなのですが、何のために事例を使うのかと考えると、「話し手の中心となる考え方」を伝えるためです。『「事例で!」「主題」を伝える。』ということを常に意識したいものです。
また、「具体例」や「体験談」まで行かなくても、「たとえ」や「比喩」を使うことで、短時間で相手に伝えることもできます。「例えてみれば、・・・」「ハンドルの遊びのように、・・・」「ズボンの折り目のように、・・・」「一杯のコップの水と同じで、・・・」と相手にとって「身近な例え」「誰でも知っているたとえ」を使って説明することで、相手の理解を促進することができます。
相手にしっかりと「伝わる」ためには、相手の知識や理解度や経験によって、「必要なことを、必要な人に、必要なだけ」伝えることが重要になってきます。
それこそ、前回触れた「フレーズ」の「一言で言うと!」「人を見て法を説け」です。と簡潔な表現で言い表されています。
しかし、簡潔過ぎてあまり印象に残らず、右から左へと聞き流されてしまう可能性があるのです。こんな時こそ、「具体例」や「エピソード」を使いましょう。
70歳のAさんは、パソコンを回線を現在のADSLから速度の速い「光回線」へと変えたいと思っていました。ところが「ADSL」と「光回線」の速度の違いがわからず、近くにいた40歳のBさんに尋ねました。「BさんADSLと光回線とは一体どのくらいの速さの違いがあるの?」するとBさんは「50M(メガ)bpsと10G(ギガ)bpsの違いですよ!」と数値・単位も使って正確に伝えたのですが、70歳のAさんにとっては、全く理解できず、「何それ???・・・」という反応で、眉間に皺を寄せて「お手上げ!」という表情をして、全く伝わっていないということがわかりました。そこでBさんは「たとえ」を使ったのです。「ADSLと光回線の速度の違いとは、乗り物に例えてみれば、自転車と新幹線くらいのスピードの違いがあるのです。」とたとえを出して言いかえたのでした。すると、その「乗り物のたとえ」を聞いた70歳のAさんは「自転車と新幹線!」とたとえを繰り返したあと、「わかった!ありがとう」と言って笑顔になったかと思ったら、「じゃ、これからすぐに変える手続きしてくる!」と言ってニコニコ笑って事務所を出て行きました。
このように、「相手の理解度に応じた例えや具体例」を使って伝えることで、よりよく相手に「伝わる」話に変わるのです。