『歴史REAL京都・奈良 古代史を歩く』の一部のライティングを担当。取材を通じて知った地形と歴史、そして宗教の関係に驚愕!
2018年3月上旬に発売された本書の「PART2 奈良・京都の魅力を再発見!古代の痕跡を歩く」を担当しました。このムックはNHKの『ブラタモリ』人気から地形の本が読まれているということで、洋泉社MOOKシリーズ、歴史REALとして発行されたもの。京都、奈良は、知っているはずの私の地元方面ですが、各地の歴史的なバックボーンを調べ、現地を歩いて検証することで目から鱗、の発見があり、あらためて古代史を歩く面白さにハマりました。
発注元の編集プロダクションさんから「Sakutaroさん臨場感ある原稿が得意でしょう」と依頼を頂き、京都と奈良の各地を、テーマとポイントを絞って実際にめぐって取材しました。ただ、史跡を漠然と取材するわけではなく、「ブラタモリ」にも出演されている京都高低差崖会の崖長、梅林秀行さんの監修のもと、訪れる地域の地形や歴史的背景を考察しながら、実況中継的にガイドしていくという紙面構成です。
ポイントは地形と政治、あるいは宗教との関係でした。プレート運動や断層運動など、地質学が知られていない当時、断層を見た古の人たちは想像力を働かせ、宗教的な価値を発見。さらに、それぞれの土地の地形や水利など地の利を活用して政治や経済の要所を押さえ、都市空間やインフラを整えてきたわけです。寺社仏閣が建てられた場所、あるいは地名に残された痕跡には切実な理由があったのです。
奈良では、藤原氏の圧倒的な政治力が反映された興福寺や東大寺方面。そして、聖武天皇や光明皇后、孝謙天皇や藤原不比等の力関係が築いた平城宮周辺。京都では、渡来人によって開拓され貴族達の別荘地として栄え、後に平安遷都の礎となる嵐山。そして、地形とランドスケープを死生観や極楽浄土のモデルとして活用した宇治平等院や六道の道と清水寺のライン……。
地形とその上に築かれた古の都市空間には神話のレイヤーや古のインフラのレイヤーが存在し、わずかにその痕跡が奈良や京都の街の方々に残されています。実際に、そうした地に足を運び、現在の古都の地形に史実や伝説を重ね合わせながら歩き、思いを巡らすうちに距離感を実感することで、身体全体でもって歴史を知ることができます。すると、最新のVRのように、当時の「景色」が脳裏に浮かび、古代の人々の営みが見えてくるようです。興味がある方は是非、ご一読下さい。
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