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インタビューでイニシアチブを取る方法

ライターには様々な業務がありますが、そのなかでインタビューという業務はプロとして活動する際に身につけておくべき重要な技術。インタビューとは、取材対象者と直接向き合って情報を得る作業だが、ただ、聞くだけでは成立しない。インタビュアーが会話の流れをつかみ、責任を持ってこれに取りくむことが大切。そこで、今回はインタビューにおいて、イニシアチブを取る方法を紹介します。

インタビューにもいろいろあって、時間に制限を持たせずにダラダラと続けるものもあれば、限られた時間内にポイントを絞って聞き出すものもある。前者は、お茶でものみながら、あるいは居酒屋の賑わいのなかでリラックスした雰囲気のなかで聞き出すパターン。後者は取材対象者が多忙だったり、スケジュールが決められているパターンで、作家やタレント、あるいは事業家などを取材する場合は後者になるだろう。

そんなとき、大切なのは会話の流れをきちんと握ることだ。表向きは自由にしゃべってもらうように促すものの、実際に自由に話しているうちに本題からズレて脱線してしまう可能性があるからだ。

人の話を聞くときは、同意の意思表示として、「しっかり頷く」というのがある。しかし、「頷き」がすぎると話し手である取材対象者は暴走して、話の筋を外してしまうきらいがある。そして、聞き役に徹してしまうと、取材対象者が一方的に話すことになり、収集がつかなくなってしまうからだ。そのために、インタビュー時には話を聞きながら、軌道修正をしなくてはならない。

その際に、取材対象者が話している最中に口を割って仕切るのは失礼にあたる。では、どうすればいいのかというと、話を聞きながら、いったん手元のノートにメモを残し、次のタイミングで体を乗り出して、相手の目をみるようにする。そうして、ボディランゲージで自分が話す番だということを伝えるといい。

どのように切り出すかというと、先までの取材対象者の発言を要約し、聞きたいことをさらに質問する、あるいは、その場で話題を切り替えるようにする。また、取材前に、ポイントを3か5つくらいに絞って、何を聞くかを予め話しておくと、本人も自覚することができる。

また、相手の話に同意することは大切だが、より深く、取材を行うには、時には疑問や反論を投げかける事も必要だ。例えば、映画のサントラを担当した音楽アーティストが「映画は観ずに作曲したんだよ」と言った時、つい、「そうなんですね、凄いですね!」とつい相手を喜ばせるようなことをいいがちだ。そんなときも「え?映画を観ずにサントラを作れるんですか?」と疑問を投げかけることが必要なのだ。

そのときに、取材対象者が「映画を観るまえに、延々と監督の作品や原作を読んだ」とか「役者の顔ぶれをみて、それでインスピレーションを得た」といった言葉が返ってくる(ことがある)。音楽アーティストが苦し紛れに答えることかもしれないが、そこに取材する意味があるのだ。

また、取材対象者の作品や業績に触れるとき、相手を喜ばせるために賛美するのは控えた方がいい。本当に「良かった!」とインタビュアーが感じているのか、機嫌をとるために言っているのか、直感的に感じ取るからだ。機嫌をとるために話している人間に対して、人は対応に向き合うことはない。もし、本当に素晴らしいと感じたなら、そのポイントと理由をしっかり述べることで、信頼を得られ、対等に扱う土台が作れるのだ。

相手はアルバムを仕上げたアーティストだったり、賞をもらった作家だったり、あるいは舞台に立ち続ける役者かもしれない。そうしたとき、つい、利き手である一介インタビュアーは気後れしがちになるだろう。しかし、インタビュー内では対等な関係を作ることが重要なのだ。

質問する際に、自分の問いかけがグダグダになっても差し支えはない。大切なことは、取材相手の思考とインタビューの思考が直結することだからだ。そうして呼吸が合ってくると、取材の終わりというものが自動的に訪れるものなのだ。「こんな話でいいのかな?」と相手は言うかもしれない。インタビュアーも取材直後は頭が沸騰した状態なので、不安は残るかもしれない。一度、レコーダーを止めて、クールダウンして聞き残しをチェックする。その上で不足があれば、聞き直すといい。

いま、読んでいる人のなかには、まだ、アーティストや作家、事業家など著名人をインタビューではなく、身近な人を取材する人も多いだろう。そうした場合でも、インタビューの時間という、非日常的な緊張感を作ることが必要だ。周囲の音や気配に気を取られることなく、真正面から相手の目をみつめて話すこと。

相手が親しい友人であったとしても、全身で「いまは、あたなことだけを考えている」という気迫をもって向き合うようにする。そうしたインタビューの時間を多く体験することで、自分なりのリズムの取り方が分かるし、無意識に相手の時間の感覚や思考の流れもコントロールすることができるだろう。

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