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めっちゃ濃いオレンジ色っぽい味についての思案

家にあるみかんがめっちゃ美味しい。とにかく甘い。みかんの域を超えている。

この世の中にはおそらく数え切れないほどの甘味があって、それぞれに「そのラインの甘さ」ってあると思うけど、そのラインがいずれもMAXが100とした場合、そのみかんの甘さは常に120だった。「みかんのラインの甘さ」の、天井を100とした場合の120なのだからもうそれは既にみかんではない。

ある日私は、この甘さは、色で例えるなら、めっちゃ濃いオレンジやな、と言った。
母親はせやな、と言った。
しかし私は思った。なぜ私は、この甘さを表現するために、わざわざオレンジ色を選んだのだろう… と。

赤では駄目か。藍では駄目か。白では駄目か。

その他の色に無くてオレンジにある要素は何だ。
元気、弾けるような、強さ、印象的な、健全さ…… オレンジ色という要素が持つ、様々な「感じ」。
しかし私は思った。これらは色に内在してる要素ではない。
私が、ひいては人間が勝手に連想し付け足しただけだ。
ただの「感じ」、オレンジ色のクオリアを延長した先にある存在。

私はみかんを食べた。
やはり、めっちゃ濃いオレンジ色っぽい味がした。
しかし厳密に言えばそうではない。
オレンジ色っぽい味は、単体では存在できない。
私はそれをみかんと知りながらみかんを味わって、甘さを感じて、みかんと、みかんの色つまりはオレンジ色と、それらのイメージを頭に思い浮かべた。その上で感想を言った。「めっちゃ濃いオレンジ色の味」。

みかんから赤色、藍色、白色の味がするわけがなかった。みかんはオレンジ色なのだ。
必ず、オレンジ色っぽい味がするのだ。みかんは。

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