さらぬわかれ 92

「…喋ったっ!!」
この場にいる誰もが、恒之新の亡霊が口を開くとは思っていなかった。

「恒之新様、正気に戻られたのですね!」
さくらが恒之新に駆け寄り、恒之新の手を握った。2人ともこの世の者ではない同士だからか、触れ合うことが出来たのだ。

「──やっと会えたのは良いけど、何だか複雑だね。」
恒之新とさくらを見て、恒孝がぼやいた。
桜の木の祟りに振り回されたのは、栄子だけではなく、代々の山村家の人々もなのだ。

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