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カミングアウトコンビニ【毎週ショートショートnote】

ああ、この人だ。
会ったことのない君と街ですれ違った時、私は直感した。
私はこの人に恋をしないと決意した。

「今度からT君の弟がバイトに入るから、仕事教えてあげてね。」
店長が言うT君は、私の同級生で、私より前にこのコンビニで働いていた。

T君は私の事を嫌いだった。
T君の第一志望の高校に私が受かり、彼が落ちたからだ。
問題はT君に私が片思いしていた事だった。

私は弟のS君の前では、何とも思っていない演技をした。

S君は黒髪で社交的な兄と違って、明るい髪で無愛想に見えたが、仕事ぶりはとても良かった。いろんな髪型を経て、黒髪短髪に落ち着いてからは、お客様のファンが増えた。

いつの間にか不器用に笑う君に惹かれていた。

君がバイトに来る最後の日、君の友人に「2人、付き合っちゃえば?」と言われた。

「私、恋とかわからないから。」
嫌われるのが怖くて、告白されてもいないのに振ってしまった。

今ならカミングアウト出来るのに。
君とは再会出来ずにいる。

カミングアウトしたいコンビニ店員の話を書いてみました。

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