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さくらゆき
2021年9月1日 20:18
朝起きると、雨が降っていた。南の部屋も日差しがないので肌寒い。 栄子は桂の上半身を起こし、肩掛けを掛けてやった。
2021年9月8日 17:13
安堵したのは、束の間だった。 席に着くと、恒太は隣の鈴原と何か話していた。昨日のノートを取り出したから、借りたお礼を言っているのだろう。 それだけのはずなのに、栄子はモヤモヤしていた。
2021年9月15日 17:18
実際、恒太は友達と仲が良いにも関わらず、栄子や桂のことを優先してくれた。下手したら、恒太だって栄子と関わることでいじめられていたかもしれないのだ。
2021年9月22日 21:07
「山村さん、お久しぶりです。」 校長が校門で恭しく頭を下げ、山村という男性を出迎えた。40代前半位、田舎には似つかわしくない高級スーツを着こなしている。
2021年9月29日 06:45
(ごめんね、恒太。) 一応受験生なので嘘にはならないけれど、恒太を拒絶したことで、栄子の心は痛んだ。