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さくらゆき
2021年5月5日 09:50
栄子は恒太のことが心配で、授業の内容が入ってこなかった。 早く放課後になれと、ずっとそわそわしていた。
2021年5月12日 06:43
中学校の門を出て、栄子は商店街の八百屋へ寄った。 恒太へのお見舞いを買う為だ。(栄子はいつも帰りの遅い両親の替わりに食材を買っているので、普段から財布を持ち歩いている。)
2021年5月19日 08:29
山村家は、実は池上家から学校までの通学路の最短ルートにある。 しかし、栄子はこのルートでは通学しない。山村家は、あの桜の木のある丘の近所にあるからだ。 そのせいもあって、栄子が恒太の家に行ったのは、昨日を除いてたった一度である。 もっとも、行かない理由はそれだけではないのだが…。
2021年5月26日 06:49
少し時間をおいて、玄関の戸が開いた。出てきたのは…「恒太。」 顔色はあまり良くない。「栄子、こんにちは。見舞い…来てくれたんだ。」「こんにちは…って、寝てなくていいの?」 思わず栄子は声が大になってしまった。 恒太は一呼吸おいて、「さっき起きたところ」と言った。