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046.スプーン一杯の認知症

「今、なにやってたっけ?」

「今?これやってたよ」
今日は、意外とこれを繰り返していた。
先日、母と食事の約束して、実家に行くと、姉から
「ゆうちゃんがまだ来ん!って30回くらい言ってたから、今から、ご飯食べに行ってくるから、あんたも行く?」
と言われ。意味がわからないので、遠慮して帰った。
母は、私と出かけるつもりだったようだけど、今日行かなくてはいけないわけでは無かったので、姉の居ないときに誘うことにした。

今日、食事に誘うために実家に行った。
出掛ける準備しようね!と、カバンや上着を選ぶことが上手くできなかった。比較的暖かい日だったけれど、寒いというので、二人で、上着を選んだ。カバンは大好きで、何個も持っている。今持ちたいカバンのスナップボタンが取れている。、もう2ヶ月くらい前からだから
「付けたげるから針!」って、
針と糸とハサミを持ってきてもらった。縫い終わったが、そんなに嬉しそうではなかった。
母は、裁縫が得意で、今も得意ですが、突然のことは、苦手になっているようでした。
さ!出かけよう!と部屋を出ようとしましたが、まだまだ靴を履くのは先の出来事。
順番に、思い出す順に玄関まで行く。今日は、お気に入りのシューズを履くの忘れ別の靴を履いていた。途中ちょっと後悔していた。

「何食べる?うどん?」

「うどん食べようか?」
「ええね~」
車に乗る
「どこ行く?遠くは無理」
「○○○(一番近い大型ショッピングセンター)」
「そうやね、何食べる?ファミレス行く?」
「ん?うどんに、せんかね?歯医者行ったんやろ?痛くない?」
「そうやね、うどんかね~?」
「そうやね~何がええかね?」
「ファミレス?」
「食べれるかね?メニューわからんけど・・・」
「やっぱり、うどんやね」
という会話を暫く続けて、ショッピングセンターへ行って、うどんを食べた。
塩味が無理で、お湯を湯のみにもらい、薄めて食べる。今日は、肉うどんの肉が砂糖甘いと言う。何か感想が言いたいのだろうと思うが、確かに、なんとなく甘いかも。。。。

お腹が空くとフラフラする

お昼前にいくと、必ずフラフラしている。
お腹空いてるんだと思うけど・・・・と言っても、違うと言うので、違うのだろう。
肉うどんを1人前食べたら、目がシャンとして会話の繰り返しも少なくなる。
「今日は、たくさん食べたね」と必ず声を掛けるようにしている。
店内を1時間くらい歩いたら
「モノが多すぎて、何か疲れた」
いつもなら、座ってコーヒーと言うが、今日は言わなかったので。
少し意識がボヤケていてる?
外に出た方がいいなと思い、ホームセンターに誘って、花の苗を買った。

行ったことない

「行ったことないから、何処か分からん」
そんなことはないが、「行けば分かるよ、色々店あるからね」
そう言ってたら着いた。
「知ってる。来たね。花を買ったね。あれ?ここやった?」
「いや、同じ店の違う店舗」
「あ~なんか、似ちょるね」
「そうやね。どこもこんな感じやね」
暫く見ていたが、野菜の苗を見始めた。
「帰って花を植えようか? ついでにオヤツ買って帰ろう」
もう、その時は、機嫌よく、花を楽しそうに選んでいた。
パンジーとビオラを買ったが、目についた色が可愛いというので、
次から次に色が変わり、同じ色が揃う。
何度もカゴを見て、入れ替えながら、4ポット買った。
選ぶのも20分以上かかったような気がする。
時計を見ながらでないと、そこで疲れてしまうので、様子を見ながら、時計を見ながら・・・。介護を真剣にするって、たいへんだなって思います。

帰りにスーパーでオヤツを買って、帰宅して二人で花壇に花を植えた。
朝顔が、まだ植えたままだったので、二人で引きちぎりながら全部除けて、土を掘り返したら球根が出てきた。
「なんか石かと思った!!」と言って、何度も掘り返して繰り返していた。
「これ何?」
何度も何度も・・・・
苗を植える所に穴を開けてもらい、植えた。その時は、集中は終わっていたようで、動作も少し遅かった。部屋でオヤツにしよう!と
テーブルに私用に出したコップに、母は自分のお茶を注いだ・・・
「それ、私の・・・・」
「?」
まあいいや、と別のコップを取りに行った。小さなエクレアを買ったが、口が変!と言って、一つだけ食べた。和菓子がいいかな?

墓場まで持っていくもの

それから、ガソリン代!と言って1,000円をくれる。
「墓場まで持っていかれんけ~ね」と言いながら。
でも、夜、家計簿を付けながら愚痴っていることも聞いている。
まぁ、腹が立つくらいがいいんかな?と思いながら。1,000円をポケットに入れて玄関へ行くと、寂しそうについてきて
「また来てね」と言う。

夜に、同級生と電話で話した。男性で、母親の病院に同行している。やはり、日増しに繰り返しや、物忘れ、ルーズさが増していると愚痴る。
「あれだけ、ちゃんとしていたのに!」と何度も言う。
「もうさ~ええやん。諦めたら?」
「諦めているけどね」
「そんな、忘れて死ぬようなことなら、あれだけど・・・」
「わかってる」

息子は特に辛いのかも、母に愛されない育ち方をしている私には、わからないけど・・・・

墓場には、何を持っていくのだろうか。
私は、何を持っていこうかな。
貴方は、何を持っていきますか?