024.スプーン1杯の認知症

どうやら、病識?自覚が出てきたように思える。

「どうせ私はキチガイなんだから!」と、たまに騒いでいるものの、私の前では、「忘れたことにしておこう。認知症だから、仕方ないと思う」と言う。時と場合によるのだろうけど。

母の実家は、自宅から電車で40分くらいの観光もできるような落ち着いた感じの地域にある。5人兄弟の2番目で長女の母。次男、次女は他界した。最近、付き合いの薄い長男が他界。私の姉(母の長女)はその兄の息子(従兄)と仲がいい。そして、高齢者介護系の仕事なので、色々と相談していたらしく、入院したことなどをよく知っていた。しかし、母には何も伝えず、危篤となってから、従兄から連絡があった。しかし、母は実感が無いので、意味が分からない状態だった。いざ葬式になると、昔の悪口を何度も繰り返し、恨みつらみを言った。葬式が終わり、何日か経つと実感が湧いたらしく、少し不安定になった。今はもう駐車場になっている母の実家に一人で電車で行ったそうな。そして、1人になった・・・・と悲しくなり、死のうと考えたらしい。そんなに高くない石垣が海の近くにあるが、その上に立って、そこから飛び降りて死のうと思ったらしい。その日の目的は死に場所を探したんだと言っていた。

葬式が済んで、何日かして、私が実家に行くと、普通に会話していたが、だんだんムキになり、母が、持っているモノを父に投げつけ、泣き出した。始まったか~と思い見ていると。。。。

体育座りして背中を丸め私たちの反対を向いた。小さくなった背中は、テレビで見るような他所のご高齢の方に見えた。そして、腕で涙を拭きながら、「この前、実家の近くに行った!でもね!死に場所を探しに行ってきた!だからね、もうね、家族は誰も居ないから、もうね!死ぬ!どうせ一人なんじゃけ、関係ない!そうやって笑いものにすればいい!」と叫んだ。

兄妹5人で3人他界・・・1人、縁切った妹が居る。あ~カウントしてないんだ・・・ってか、あ~たの家族?守してくれてるおじいさんは、アナタの旦那よ・・・。と心で呟いた。

「死んじゃるけ!場所決めたけ!」

『そうなん、で、どこで死ぬん?』

「石垣の上から飛び降りる。あそこなら、死ぬじゃろ!」

『でも、そこまで高くないから、難しいと思うよ、人は簡単には死なないっていうから・・・どうする?飛び降りで、半殺し状態で、岩場で放置・・・痛いと思う』

「・・・。」

で、その話は、終わった。歩くのが好きなので、徘徊するとすれば、その実家近くだろう。無事につくように祈っている。

同じ事を、母の父。。。祖父が言っていた。

母が、長生きして辛いという親に向かい、「死にたいなら包丁持ってきて追っかけるよ!」と怒ると、車いすの祖父は「走って逃げる」と言ったらしい。親子だからな…私も言うのかな?

なんとなく機嫌が戻って、二人で買い物に出かけた。

早死には、不幸だが、長生きは辛いらしい。わからんでもないが、毎週のように病院に通う姿は、死にたいとは見えないのは私の思い込みなのかな。

夫婦仲良く暮らしてくれれば、それでいいと思います。

最近、中卒で読み書きが苦手すぎる父が本を買った。認知症の人への対応に関しての本。ちょっと考えられないくらいの行動にビックリしたが、読むのか聞いたら

「母ちゃんが、うるさすぎたら、これ読ます」

って・・・・いくつになっても、夫婦喧嘩は、犬も食わん。