東京おもちゃショー2023レポート&私のおもちゃ大賞3選
先日6月8日~11日、おもちゃ業界の一大イベント、「東京おもちゃショー」が東京ビッグサイトで行われました。
いわゆるおもちゃの展示会ですが、小売店や問屋などの関係者だけでなく、一般公開日もあって、家族連れなども訪れる大規模な展示会です。「日本おもちゃ大賞」の各賞もこの場で発表され、マスコミでも報道されていましたので、ご覧になったかたも多いかと思います。
私は、東京を中心に約30店舗を構え、55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の二代目社長を務めていました。
現在はもうお店を畳んでしまっていますが、おもちゃの展示会には足を運び続けています。
これまで、おもちゃ屋の娘として、またおもちゃ店の経営者としておもちゃを見続けてきて、「おもちゃは時代や世の中を反映する」ということを実感しています。
だから、おもちゃがどう移り変わっていくかを知りたいのです。
今回の記事では、「東京おもちゃショー2023」で私が注目したおもちゃのトピックスをご紹介します。
また、「日本おもちゃ大賞」の番外編として、当日見たおもちゃの中から「マイおもちゃ大賞2023」を選んでみました。お子さんのおもちゃを探している方、おもちゃに関わるお仕事の方、おもちゃが好きな方など、ご興味ありましたらご覧くださいね。
トピック1:おもちゃは子どもだけのものじゃない
少子化の世の中、子どもだけを対象にしていたら、おもちゃの売り上げはどんどん下がっていきます。
また、おもちゃで遊ぶのは子どもですが、それを選んで買い与えるのは大人です。
そのため、各メーカーが「大人の興味をひくおもちゃ」「大人に選ばれるおもちゃ」を出すようになったように感じます。これは今年に限らず、少子化の傾向になってからずっと続いています。
例えば、「知育おもちゃ」と呼ばれる、遊びながら子どもの能力を伸ばすことをうたったおもちゃ。
ここ数年は「育脳」を商品名に入れたおもちゃが多かったのですが、今年は特に「モンテッソーリ教育」をうたったものが目につきました。
将棋の藤井聡太さんがモンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園で育ったということで、現在注目されているのだとか。やはりおもちゃは世の中を反映しますね。
その他、「SDGs」を意識したもの、「プログラミング思考を育む」としたおもちゃも相変わらず多いようでした。
また、定番おもちゃの仮面ライダー「変身ベルト」も、子ども向けだけでなく、20年近く前から大人向けにも高額なベルトを販売し、コレクターズアイテムになっています。
トピック2:キャラクター玩具が8割
これも今年に限ったことではありませんが、今の日本のおもちゃの8割は、何らかのキャラクターがついたものです。それ自体は必ずしも悪いことではないと思うのですが、おもちゃそのもの(遊び方やギミックなど)はあまり変わらず、キャラクターだけがその時々の流行りによって変わっていく印象で、長年おもちゃを見ている私としてはちょっと物足りない思いです。
残り20%の、キャラクターでないおもちゃには、ブロックや積み木などが多いですね。
以前、春の商談会の記事で、パステルカラーのダイヤブロック「OKOMEIRO」をご紹介しましたが、今回はクリアカラーの「ヒカリイロ」が展示されていました。
透明感があって、日当たりの良いところで遊んだらきれいでしょうね。
ダイヤブロックに限らず、他のおもちゃでも透明感のあるクリアカラーをよく目にしました。
ちなみに、「OKOMEIRO」をご紹介した記事も、ご興味ありましたらご覧ください。
トピック3.アナログゲーム、パズルが引き続き人気
コロナ禍でおうち遊びの需要が増えたことで、家族で遊べるアナログゲームやパズルが各社で引き続き多く見られました。
例えば、今回の日本おもちゃ大賞の「コミュニケーション・トイ部門」優秀賞に選ばれたゲーム「TAKUMI ZOO」。小学生一年生の匠(たくみ)くんが開発したゲームとして話題を集めました。
また、以前からあるゲーム、パズルのバージョンアップも多く見られました。
ルービックキューブ ダブルフォームは、立方体という枠を飛び出しています。難しそう・・・。
オセロ(メガハウス)は3D世界での勝負に!
ツイスターも、アプリ連動でバージョンアップ。手首と足首にバンドを付けて体を動かすと、画面上で遊べます。
マイおもちゃ大賞 2023
ここからは、私がいいなと思ったおもちゃを3つご紹介します。
1:かわいい動物がカンフー? カンフーパペット(イワヤ)
レバーを操作すると、動物たちが「アチョー!」などの声とともにアクションします。
単純にかわいいし、誰もが自然と笑顔になるおもちゃです。
もちろん、一人でも楽しめますが、カンフーというテーマなので、ブルース・リーやジャッキー・チェンの映画に親しんでいた親世代、祖父母世代にとっては懐かしく、幅広く家族で遊べそうです。
今回の「日本おもちゃ大賞」でも、アクション・トイ部門の優秀賞に選ばれました。
2:シルバニアファミリーにもクリアカラーが。「ひみつの森の大きな滝」「水あそびセット」
シルバニアファミリーでも、クリアカラーが見られました。滝の透明感、イルカボートの質感がすばらしいですね。
水がなくても水遊び気分になれそうです。
「ひみつの森の大きな滝」は、「キャラクター・トイ部門」優秀賞に選ばれています。
3:電池不使用のギミックでも難易度アップ アスレチックランドゲーム シーアドベンチャー
40年ほど前に大ヒットし、昨年リバイバル発売されたたおもちゃ「アスレチックランドゲーム」。レバーやダイヤルの操作で、鉄球をスタートからゴールまで運びます。
「シーアドベンチャー」は、海をテーマにした第2弾。
電池不要で、仕掛けそのものはシンプルですが、難易度が高く、クリアするまで何度も遊びたくなります。
そして、お父さん、お母さん世代にとっては、昔遊んだ懐かしいおもちゃですね。ここにも「大人が欲しくなるおもちゃ」というポイントがあると思います。
また、キャラクターなしのおもちゃにも頑張ってほしいという気持ちで、選びました。
いかがでしたか?
本家の「日本おもちゃ大賞」一覧は、こちらからご覧いただけます。
昭和27(1952)年から55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の思い出話を毎月更新しています。こちらもぜひご覧くださいね。
編集協力:小窓舎