人手不足と高失業率は両立する。インフレと賃金低下も両立する。
一見すると、両者は相容れないように見える。たしかに今まではそうだった。しかし、それは「誰でもできる仕事」がGDPの主だった時代の話だ。
つまり工業主体の経済。
失業者が大勢いれば、彼らはラインで安く働く。だから人手不足になることはなかった。
賃金が低下すれば、消費は減り、供給過剰になって物価は下がった。
でも現代の日本経済はサービス業が主体だ。
サービス業は誰でもできるものではない。
それどころか、能力のない人を雇うと会社の損失になる。客が不快な思いをするからだ。(注1)
だから企業は基準を超える人材しか採用しない。しかし、有能な人材は少ないのだ。しかるに「人材」は不足し、失業者は増える。
注1:しかも最低賃金を法で制限しているので、そこそこの給与を払わざるを得ない。
これを別の視点から見ると、人材が不足すれば、サービスの「原価(人件費)」は高くなり、料金も高くなる。
一方、能力の低い人は、失業するか従来からある「誰でもできる仕事」を低賃金でやるしか無い。
すなわち平均賃金は下がる可能性は大いにある。(注2)
注2:法律で最低賃金を上げることはできる。しかし平均賃金は下がるだろう。最低賃金で働く労働者が大量発生するからだ。
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