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AUKUS(米英豪同盟)の意味:太平洋の制海権です。

豪は仏との契約を蹴って米英技術供与で原子力潜水艦建造に踏み切った。

対中国情勢を考えれば、合理的決断だ。米国本土、ハワイ、オーストラリアを拠点として海軍力を運用すれば、太平洋はAUKUSのものだ。中国は出てこられない。

しかも日本もいる。(注1)

注1:本当は、日本も同盟に加えたいだろうが、「動ける軍隊」を所持していないので無理だ。またスパイ防止法のない国を同盟に加えるのも無茶。加えたら情報が中国に筒抜けだ。

 なお後述のように、豪の潜水艦隊は南太平洋の制海権保持を視野に入れているはずだ。となると通常動力潜水艦では航続距離不足でNG。原子力艦の一択だ。だから、日本の潜水艦では不可なのだ。

そして、米国としては、中国海軍の太平洋進出を阻止したい明確な理由がある。中国は弾道ミサイル搭載原子力潜水艦を運用しているからだ。こんなものが太平洋に出てきたら、米国本土が攻撃される。絶対に許容できない。

また、日米に加えて豪が優秀な潜水艦隊を持てば、南太平洋の制海権も(楽に)取れる。すると、中国潜水艦が、ホーン岬経由で大西洋に出ることも抑えられる。
 これは英国にとっても非常に良い話だ。中国がロンドンを核攻撃する可能性もある。

米英(およびNATO)の対潜水艦戦略は対ソ連を想定していたので、米ーグリーンランドーアイスランド-英国ラインの、北大西洋の防備は固い。しかし、南側からの進攻に関してはガラ空きなのだ。

また米英としては、インド洋も抑えてインドに加勢したい。米印の経済的依存は強いし、インドはイギリス連邦なので、インドは明らかに米英の「味方」。そしてインドと中国は交戦中であり、「敵の敵は味方」だ。
 インド洋に海軍力を展開するには、豪は非常に重要な戦略的要衝だ。今までインド洋に置ける米軍の拠点はディエゴ・ガルシア島というちっぽけな島しかなかったのです。

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なぜ仏ではなく米なのか?

米英豪はいずれも海洋国家であり、海軍国だ。仏とは違う。また言うまでもなく、米国はずば抜けて強力な潜水艦隊と潜水艦建造技術を持っている。

組むならば、仏ではなくて米英だというのは、言われてみれば自明なのです。(注2)

そして米英豪はファイブアイズの構成員であり、もともと情報を共有している。いい事ずくめです。

注2:これは私の憶測ですが、豪海軍は何年も前から米英と組むことを考えていたと思います。
 しかし、それを阻止する勢力が豪政府内にいました。もちろん中国共産党です。どうやら豪政府とメディアは10年以上前から浸透されていたらしく、この影響を払拭できたのが、つい1年ほど前です。
 また、悪いことに2016年からの米国は「魔のトランプ政権」であり、豪はこの政権を相手に交渉などできなかった。トランプは、想像を絶するほどの外交オンチ、軍事オンチだからです。
 実際、トランプ政権時代に、豪との外交関係や太平洋の制海権が話題に上がったことはないです。 
 
 そういった障害がクリアになり、ようやく豪は意味のあるパートナーシップを結べるようになったというのが、この一連の出来事の背景でしょう。





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