見出し画像

命を救う能力はたぶん獣医のほうが上だ。人間相手では無難な治療しかできない。

これは私の推定です。

もっとも医療技術が進んでいるのは、を相手にする獣医でしょう。人間相手の医者はとにかく制約条件が多すぎて、リスクのある試みがほとんどできない。
 そして牛は治す価値がある。残念ながら、豚の価値はそれより低いし、鶏はもっと低い。鶏は治すのではなく殺処分になるはずだ。(注0)

注0:ただし、経済的な観点から、家畜に対する医学は、治療ではなくて予防が中心だ。病気にかかってからでは金がかかりすぎる。
 でも、実は人間の場合にも、予防医学に金をかけるべきなのだ。その方が、限られたリソース内で、はるかに多くの命を救える。ほとんど実行されていないが。
 人が相手の場合には、医者は目の前の患者しか見ない。だから医療関係を目指す人は、ほとんどが治療をやりたがる。公衆衛生学の方が重要なのですがね^^;

 死んでも解剖すら難しい。感情的な問題が多すぎる。

 その点、家畜は有利だ。失敗してもわずかな金で解決する。そして、何と言っても「人体実験」に相当する行為をやり放題だ。「被験者」はいくらでも買える。

 ワクチン開発だって、「動物実験」など要らない。患者が動物だ^^;
 いきなり患者に試せばいいし、患者も好きなだけ作り出せる。

はっきり言って研究者にとっては、夢のような環境だ。

************

 そして、獣医学は実用学なので、やることが合理的だ。とにかく多数の家畜を助けるのが目的であり、実に明確。

 人間の医者はそうではない。例えば老人医学だ。老人にどれだけ高度の医療を施しても、数年間を延命するに過ぎない。だって老人だから何をしても数年以内に死ぬ。

 ガンや脳溢血の治療も同じ。患者の年齢は高く、治療してもすぐに死ぬ。

 また、脳外科医や心臓外科医は、マンガやドラマではスター扱いで華々しいし、たぶん実社会でもエリートだろう。しかし彼らが救う命はわずかだ。

 救う命の数から言えば、町医者のほうがずっと多いはず。彼らは風邪が悪化して致命的な肺炎になるのを防ぐ。

 あるいは産婦人科医。とにかく患者数が多い。彼らの技量が下がれば、死亡者は劇的に増えるのだ。しかも若くして死ぬ。

 小児科医もそれに近いだろう。幼児の自然死亡率は非常に高い。幼児には医療が必須なのだ。

******

 繰り返しになるが、人間相手の医療行為は、感情的な問題が非常に大きくつきまとう。それが悪いわけではないが、おかげで合理的な判断はできない。
 医学は進歩しないし、死者はなかなか減らない。

*******

明暗がはっきり分かれる事例がある。

例えば鶏が鳥インフルエンザにかかったら、獣医は感染の恐れのある鶏を全て殺処分する。それゆえに被害は最小だ。パンデミックなど起こらない。

これは非常に合理的な処置なのだ。

 もちろん人間相手にこれはできない。しかし結果的には、それが理由で死亡者は多くなる。死亡者を最小にするのが目的ならば、発見とともに、その集団を全員焼却処分にするのが正解だ。(注1)

注1:なお、中世までは、これを実行していた模様。村が丸ごと全滅など、事例には事欠かないようだ。
 現代でも、実質的にこれに近いことは起きている。アフリカあたりでは、一つの村で疫病が流行ったら、誰もそこに近寄らなくなるし、その村から出て来る人間は多分殺される。
 そして村の住人が全滅したら流行は終了する。

 エボラは恐れられている割には、死者は実は大して多くない。理由はこれだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?