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医師が医師を面談する時代

2024年4月から、医師が医師を面談する法的スキームが始まります。詳細は、厚労省のサイトのこちらです。医師の長時間労働問題に対する国の施策が、この数年猶予期間を経て、ようやく始まることになります。

面接する医師を「面接指導実施医師」、面接される医師を「面接指導対象医師」と呼びます。今回のスキームで特徴的なことは、面接する医師は、厚労省が指定するEラーニングを終了しさえすれば、産業医の資格がなくても行えるという点があります。

そのため、厚労省も念入りに準備を進めていて、この半年間は毎週末に、半日をかけて、ロールプレイ実習などをおこなっています。私も先般この実習を受けました。たしかに、産業医の経験がない先生でも、どのように面談を進めたらよいかが大変にわかりやすいよく練られた実習でした。

「面接指導実施医師」のミッションは、「就労制限」の判断ではありません。病院の産業医や管理者へ、「つなぐ」か否かなの判断です。

たしかに、それだけでも「少数」であることは推測されるものの、心身への危険が差し迫ってかつ自分でそれを回避できなくなってしまっている医師が、この法的スキームによりピックアップされる可能性は大きくなると思います。最近マスコミの報道にあった某専攻医の過労自死のような不幸な事案の抑止になることに期待したいです。

私は、平素の産業医業務で、長時間労働の面談件数は、3桁以上4桁未満程度だと思いますが、そのほとんどが元気である印象をもっています。ただ、たしかに「少数」ではあるものの、産業医の自分がストッパーにならないと危ないと思える社員さんはいます。そんなときは、産業医意見書に「就業禁止」を書きつつ、専門医への紹介状、職場への根回しなどを行い、当該社員さんには安心して休めるよう努めてきました。

かつて急性期病院勤務の頃は、自分の上司、同僚が、過労から、メンタルダウン、退職していく様子を目の当たりにしてきました。その当時から、医師の労働制度は何かがおかしいと強く思っていて、ネットに公開されている中原先生の遺書に強い衝撃を受けたことを今でも思い出します。

私は、2007年当時の自ブログにこのような記事を書いています。その時点で、すでに、医師が医師を面談する必要性についてすでに言及しています。17年越しに、ようやく私が考えていたことが世の制度となったわけですね。

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