鍋割山の鍋焼きうどんは、特別な味だった。
ハァーハァーハァー、
額に汗、腰を手を当てながら登ってくる登山者とすれ違う。
「こんにちはー。」
下山する私は、あいさつをするも、
ハァーハァー、ハァー
と、目であいさつだけして通り過ぎる。
何人も、何人も、次から次に、鍋割山を目指して登ってくる。みんな疲れた表情だ。足元はヨレヨレという人も。
丹沢縦走2日目の私は、
鍋割山の鍋焼きうどんを食べるのが目的の登山だ。泊まった木の又小屋から、塔ノ岳の山頂まで、20分。そこから鍋割山は1時間半だ。
鍋焼きうどんの販売は10時から、
そんなに早く行っても、待つだけだと思い、コーヒーを飲んでから、ゆっくり山小屋を出発する。
小屋の女性スタッフが、私の名前を呼ぶ。そして、
「今回来れなかったお友達と、また来てくださいね。」
といってくれる。
キャンセルの対応もスムーズで、この心遣い。嬉しい。
「はい、また来ます!」
と元気にあいさつして、小屋を8時過ぎに出発する。
ウォーミングアップにちょうどいい、20分ほどで、塔ノ岳の山頂だ。
何か飲むわけでもなく、食べるわけでもなく、富士山の展望のいい場所に座って、丹沢山はあそこ、それにつながる山が蛭ヶ岳、檜洞丸はどれだろう?
と、次の登山に思いを馳せ、偵察していたら、あっという間に30分経っていた。
鍋焼きうどんは人気で並ぶと聞いている。並ぶ時間が長くて、下山が遅れてしまっては大変、
ここからの富士山を目に焼き付けて、
いざ鍋割山へ。
金冷しまで木の階段を降りてくると、鍋割山への分岐がある。これを鍋割山の方へ折れる。
なだらかな登山道、右手の木々の間から、富士山が見え隠れしている。
開けて明るい登山道をゆく。
山頂!と思ったら、また下る。いくつかアップダウンを繰り返し、何回も顔を見せてくれる富士山を楽しみ、
やっと、鍋割山に到着!10時30分。
鍋割山からも富士山が見える。
富士山の展望のいいところにザックを置いて、場所取りして、鍋焼きうどんの列に並ぶ。
グツグツ煮えた鍋焼きうどん、めっちゃ具沢山。
かぼちゃの天ぷら、油揚げ、きのこ数種類、ネギ、にんじん、小松菜、かまぼこも入って、最後玉子がポーンとのる。
スープのお味は出汁も効いてしっかり濃いめ、疲れて汗をかいた体には、塩分が多くて美味しい。あったかーい。
猫舌の私、
フーフーして、一本ずつうどんをすする。はぁ〜、念願の鍋焼きうどん、幸せ💕とろとろのかぼちゃの天ぷら、
噛み締めるほど、旨味がでるきのこ。半熟の玉子は、レンゲですくって、きみを崩さないように、つるんと食べた💕
はぁ〜、美味しい。
登山を始めて間もない頃、
この鍋割山には、名物の鍋焼きうどんがある事を知った。
『登ってみたい。食べたい鍋焼きうどん』
地図を調べるも、登山初心者には、
登りの時間、一番短いルートで3時間20分。王道ルートは3時間35分。鍋焼きうどんは1時には無くなってしまうという。
何時から登り始めればいいの?
そして、その標高差が1000m!
どこから登ってもハードな山で、登る機会がなかった。
今回初めての鍋割山、鍋焼きうどん。
ゆりさんと一緒にまた着たい。友達も連れてきてあげたい。
私はこの標高差を、今日は、
お腹いっぱいに満たして、満足して下山する。
登ってくる人は、皆しんどそうな顔をしている。
そりゃそうだ。ずっとそこそこ急な登り(下り)
ここを登るのは、かなりハードだなぁ。
今度鍋焼きうどん食べにくる時も、ヤビツ峠からの方が、距離あるけど、楽しいんだなぁ。そんな事を思いながら、急な下山道を下る。
みんな辛そうだなぁ。
行き交う人にあいさつすると、息も絶え絶えに、やっとこ
「こんにちは。」
と返事をしてくれる人。
でも、この辛さの先に、、あの鍋焼きうどんがあるんだよ。
こんなに汗をかいだ後、あの鍋焼きうどんは、うんまいに決まってる。
「頑張って❗️」
思わず応援したくなる。
急な下りが終わると、沢を渡って、
ダラダラ続く林道だ。
沢の音を聞きながら、
長い林道を歩いて、大倉の登山口に2時に無事下山。
富士山の展望と、熱々の鍋焼きうどん。
今回の山行きは、いろいろハプニングもあったけど、楽しかった。
この道を登って、鍋焼きうどんを食べにいくのもいいなぁ、と思ってる私がいる。
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