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44 伊織さんの感情

龍星は仕事に行かなければならず*また後で来る*と言って出ていった
ワタシはどうしたらいいんだろう…
伊織さんの家がワタシの家になっちゃったから
また伊織さんにヤラれると思う
《伊織さんとちゃんと話そう…》

龍星は優しくて好きだ
でも伊織さんも気になるのだ
ワタシはバカだ
龍星だけにしておいたら平和な日々が送れると思うのに…

平和?
ワタシは平和を望んでいるのか?
仕事もまともでは(普通の人からすると)
全然平和な世界じゃない
…………
シゲキ?
シゲキが欲しいのかワタシは……

空っぽの頭の中で一生懸命考える
…分からない…

ガチャガチャ
ビクッ
伊織さんが帰ってきた

伊織「疲れたぁ〜さくらちゃん癒して〜」
伊織さんはスーツのまま寝転がる
いつもの伊織さんだ
ワタシ「伊織さん?ご飯食べた?」
伊織「客とちょっと食べた〜」
ワタシ「ご飯作ってみたんだけど…」
伊織さんは起き上がる
伊織「さくらちゃんが?俺の為に?」
ワタシ「いや、もし食べてなかったらと思って…
ビーフシチューだよ笑」
伊織「全然食べる!! ちょっとシャワー浴びてくる!」
ワタシは料理は得意だ
お母さんにそれだけは絶対!とお姉ちゃんも含め作らされていた

伊織「…美味しい。俺感動…」
大げさな笑と思って伊織さんを見る
ワタシ「えっ?伊織さん??」
伊織さんは泣いていた
伊織「昨日ごめんな?…俺愛情表現が分からない」
「昔っからそう。本命には意地悪しかできない」
ワタシは黙っていた
*伊織さんの家庭環境も気になるな…*
ワタシ「ワタシも同じもんです笑」
伊織「なぁ…さくらちゃんってな?俺が客と何してるのか気にならないの?」
ワタシ「?お客様でしょ?それも仕事なんだから
別に気にならないです」
伊織「違〜う。さくらちゃんが彼女だったとして!」
ワタシ「同じ台詞が出てきます笑」
伊織「さくらちゃんはそういうとこが変わってんだよな…。黙って待っててくれてるし。…かと思ったらミナトさんの挑発には乗るし…」
ワタシ「変わってる。と優しい。はよく言われます笑」(何処が優しいのか分からないけど)
ワタシ「伊織さん?ワタシは伊織さんをちゃんと知りたいです」
伊織さんは黙っている
伊織「俺は客には嘘つきだけど、大事な人には絶対嘘つかない。それと、こんな面倒も見ない」
ワタシは伊織さんがかわいく見えた
ワタシ「これからはもっと本性出して下さいね?」
伊織「めっちゃ好きやわやっぱり」
ワタシはアハハと笑う
伊織さんが言う
伊織「俺マジで今年中にプレイヤー卒業してオーナーだけするから。もう客の相手疲れたし。
さくらちゃんを幸せに出来るのは俺だと思ってる」
ワタシ「お客様が聞いたらワタシ刺されますね笑」
伊織「俺も龍星に殺されるよ。それ位の覚悟!」

なんだかゆっくりとした時が流れていて
楽しかった。
ワタシ「伊織さん?ワタシまだよく分からないんです。龍星の事も好きです。でも伊織さんは放っておけないっていうか……」
伊織「分かってるよ…だから家に住み込ませたんやん。これも俺の嫉妬からくるし…」
伊織「これからを一緒に見て行って欲しい」
龍星はさくらちゃんに惚れてるから一筋縄ではいかないけど俺なりに頑張るから」
ビーフシチューは全部食べてくれた
ワタシはギューっとした気持ちになった

これからどうなるんだろう
でもワタシの人生はそんな平和にはやっぱりいかなかったんだ
続く

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