【猿でもわかるeスポーツ経営学】eスポーツチーム運営における私が思う基本的な経営戦略【第一話】
皆様こんにちは。
桜野はるです。
前回をまとめると「eスポーツチームにはブランドが必要」ということを記事にしました。
今回から具体的な話をしていきます。
最初に断りを入れておきますが、この記事は小難しい数字や複雑な裏付けなどは一切含んでおりません。
故に、有識者やすでに経営をされている方達は違和感でしかないと思いますが、ご容赦ください。
前提:プロeスポーツチームを運営する必要は?
藪から棒に何を言っているんだと思った人がほとんどだと思います。
周りを見ていて、私思うんです。
あなたがやりたいことはプロeスポーツチームである必要はありますか?
eスポーツが好きでプレイヤーが集まり、それがチームとなり、有名になってブランドが付き、プロとして活動している。
こういうチームはプロとして活動していて全然いいと思うんです。
むしろ、我々eスポーツに関わる人間は彼らを誇りにすら思っています。
少なくとも私は。
でも、プロのeスポーツチームと謳っている殆どの団体を私はプロと思えないんです。
それ、ビジネスとして活動してないよね? とか、プロとして活動しなくてもいいよね? とか。
よくある例で「大会でトップ目指して頑張ってます!」という選手達。
「へぇ。頑張ってね!応援してるよ!」以上のなにかをしてあげることができないのが現状です。
結果を出して、大会で優勝したとしても「頑張ったね!」と。
さらには、それで満足してしまって、また次の大会に向けてがんばります!という選手や団体オーナーさん。
そのあとのブランド価値を自分達につけることができていないのがとても残念。もっと言えば、自分のブランド価値を下げるような発言をTwitterとかでしてしまっている選手もいたりして、果には炎上してしまっていることも。
※炎上商法で上手くいっている例もあります。
どうして自分達はチームとして存在しているのかを明確にし、団体の理念を作り、その理念がビジネスに起因するかどうがを見つめ直す必要があると思います。
そして、そもそも自分たちの目的は「ただ強くなること」なのか「ビジネスとしてお金を稼ぎ、eスポーツ関連で飯を食っていくこと」なのかを認識することから始めてください。
上記二択の中で、後者の人はこの先を読んでおいて損はないと思います。
0.コミュニティーの形成する
eスポーツで地方創生をする方法。
でもお伝えしました通り、まずはコミュニティーとしてチームを運営することです。
コミュニティーに人が集まります。
前回の例で言うと、いくらイケメンで甘い声の男性選手を集めたところで、コミュニティーがなければ女性ファンが集まることがありません。
コミュニティーとは、eスポーツチームの選手が集まる場所ではなく、ファン達が選手に対して語り合ったり、チームのことを認識できる場所の事をいいます。
YouTubeやTwitter、ファンサイトなどが多いのではないでしょうか。
このコミュニティーに人が集まることにより、コンテンツが生まれ、そのコンテンツに企業はお金を出します。
1.内部・外部環境の分析
コミュニティーを形成できたら、まずは自分達と自分達の周りについて分析します。
○内部分析とは。。。
・人、金、物をどれだけ、どういう形で保有しているか。
・財務基盤
・生産力と技術力
・組織風土
○外部分析とは。。。
・eスポーツ業界の状況や国内外の政情
・競合チームの動向
・eスポーツ市場
・技術革新の動向
まずは自分達の環境を把握しておかないと、前に進むこともできません。
特に、外部分析をする上では、幅広い技術革新の動向も注視する必要があります。
よく企業で使われる方法として、SWOT分析というものがあります。
内部環境を強みと弱さ、外部環境を機会と脅威の4つに分けて整理します。
2.差別化できている部分はあるのか
正直な話、eスポーツチームというのはたくさんいます。
その中で、選手を含め、自分達は他のチームとは違う魅力があるのかを確立しておくと安心でしょう。
ここでもSWOT分析が活用できます。
自分達の弱さと強さを知っておくことで、差別化できるポイントを整理することが可能です。
差別化するポイントは選手やチーム独自のサービスに関わる要素だけではありません。
・組織風土
・生産設備
・知的財産
など、様々な要素でも差別化するポイントはあります。
視野を広く分析してみましょう。
3.顧客セグメントの分析
顧客セグメントとは、市場の顧客を分類するマーケ手法です。
顧客のタイプを分析することで、自分達が提供するサービスの見込み客にあたりをつけ、最適な戦略を打ち出すことが可能です。
代表的なものは【3C】です。
eスポーツを取り巻く経済環境を「顧客」「競合」「自社」の3つに分類。
各々の視点から経営戦略を打ち出すことができます。
また、この手法を利用することにより、既存の顧客から潜在顧客、さらには顧客のニーズや購買行動を分析し、ターゲットにすべき顧客の分析にも役立てることができます。
ここでの顧客が、誰に向けて活動するのかを決める作業になります。
さらに、顧客の種類は一つじゃなくても大丈夫です。
例:女性ファンと女性ファンをターゲットにした企業が顧客 など
4.自分達が提供できる価値を見つける。
差別化するポイントと顧客セグメントを特定できれば、eスポーツチームとしてどのような価値を顧客に提供できるのかを掘り下げます。
よく、私がマーケコンサルしてて勘違いされるのが
差別化ポイント=業績向上
という点です。
差別化しただけで業績上がるなら全世界の社長さんはストレスフリーで悠々自適に生活できてます。
差別化ポイントは絶対に穴があります。
模倣できるポイントというのは多数あり、競合は絶対にそこを真似てサービスをリリースします。
飲食チェーン店が打ち出した差別化ポイントが功を奏し、業績向上しても、競合他社に真似され、業績不振に陥るなんてことはよく聞く話です。
なので、差別化ポイントは本当に自分達しか提供できないのかを慎重に見極める必要があります。
5.経営戦略の策定
1〜4で行った、自分達の分析を基に経営戦略を策定します。
経営戦略は、人・金・物を適材適所に分配する「企業戦略」と、事業毎に戦略を立てる「事業戦略」とマーケティングや営業、人事といった「機能別戦略」の順に細分化して策定できます。
○企業戦略(経営層)
今期は○○○万円の売上を目標とし、eスポーツを利用してたくさんの企業様から案件を獲得し、PUBG部門では世界大会での優勝を目標とする。
今までの実績から推定し、PUBG部門にはコーチを2名配置、ストリーマー部門にはマネージャーを1名配置する。
PUBG部門に今年の予算を○○万円、ストリーマー部門には○○万円
○事業戦略(部門長層)
ストリーマー事業において、女性ファンが多いので、Aマネージャーによるマネジメントの下、他チームのストリーマー部門より○○というような点で企業へのアプローチを実施する。
PUBG部門において、他チームとは○○という方法で練習を行い、確実に実績向上に務めるほか、△△のような事態に備えて☓☓という方法を行う。
○機能別戦略
Aマネージャーの分析によれば、Cさんのファンは女性が多いため、女性向けに商品を展開している企業へのタイアップを提案する。(営業戦略)
PUBG選手において、○○ができる選手がほしいので、D選手に対して、□□という方法で育成する(人事戦略)
経営戦略を成功させるには?
○明確なビジネスモデルの立案
目標を成功に導くビジネスモデルが必要不可欠です。
これには、十分な利益確保が狙えるコストダウンや高いリピート性などの要因が含まれます。
ただし、ビジネスモデルも模倣されやすく、時代の流れや顧客のニーズによって成り立たなくなります。
そのため、適宜見直しを図る為のPDCAをサイクルは必ず実施する必要があります。
○人事戦略
どこでもそうですが、経営の生命線が言うまでもなく「人材」です。
人材をどうマネジメントして、育成していくことが経営戦略を成功させるための重要なポイントです。
能力の高い人材を組織に定着させるために、タレントマネジメントは厳しい経営環境の変化に対応できる、競争力の高い人材を育成する方法の一つとして注目されています。
○適切なITへの投資
ITシステムはすでに、企業は導入しています。
しかし、eスポーツチームでITシステムに投資するの? と、疑問に思う人が殆どじゃないかなと思います。
営業力や販売力の強化や売上拡大などに寄与するサービスとして、インターネット広告やSNSでの広告など、広告費用として戦略を立てるのもいいでしょう。
もっと言うと、営業管理ツールや人事管理ツールなどの導入も、チームが大きくなればなるほど考える必要があるかもしれません。
また、書類をリアルタイムで管理できるシステムの導入など、書き出したら切りがなくなりますが、自分達が注力する事業の特性を理解し、適切なITシステムへの投資を行うことは、経営戦略を策定する上での基本といえます。
代表的な経営戦略
○多角化戦略
企業が売上・利益の向上や経営資源(人・金・物)の有効活用、リスク軽減の目的で、既存事業とは別の新規事業を展開する経営戦略のことです。
例えば、ストリーマー部門が成功し、YoouTubeでの稼ぎ方をコンサルする事業を展開し、ストリーマー部門から人材を輩出する事により、ストリーマー部門では抱えきれなかった人材を新規事業に回すことができます。
○差別化戦略
競合よりも差別化されたサービスを特定の市場に投入し、シェアを獲得。
例えば、PUBG市場において、チーム独特の方法で勝ち進んでいき、観客への視覚的興奮を与え、人気を集める。など。
これに対してブランドが付与されると、ブランド戦略として打ち出せるほか、その独特の方法自体を愛するファンが出てくる可能性がある。
また、単純に知名度の向上につながる可能性がある。
しかし、明確な方法で差別化を打ち出した場合、そのブランドはすぐに模倣されてしまい、一般企業だと価格戦争に巻き込まれる可能性があります。
そのため、差別化戦略は自分達の強みやターゲットとなる顧客層の確立と、効果的な宣伝方法を実施することが重要です。
○グローバル戦略
新たな市場開拓や競争優位の獲得を求めて、世界規模で事業拡大及び事業開発を行う経営戦略です。
日本では普及しきった製品でも、海外ではまだまだ販売できたりなどが一般的な事例で挙げられます。
ただ、eスポーツにおいてはこの戦略を利用するのは、日本独自の方法で売り出しているチームで、海外でもその方法が適応されるであろうとされないと難しいかもしれません。
○コストリーダーシップ戦略
業界全体をターゲットとし、他社が実現できない低コストを武器にシェア拡大を図る経営戦略です。
これはバリューチェーンの大幅な見直しや過去の累積生産量から低コストを生み出すことによって実現が可能です。
よく勘違いされるのは価格戦争を前提とした戦略と思われることなのですが、全く違います。
サービス提供などに関わるコストを圧縮することで実現するため、継続的に利益を生み出し続けられるビジネスモデルや販売戦略とセットに考えます。
eスポーツチームがこの戦略を行うとすば、殆どの場合はグッズ販売の際に実施されるのではないかなと思います。
書籍の紹介
今回参考にした書籍のご紹介をさせていただきます。
プロとしてeスポーツチームを運営するのであれば、企業と同じことをしていても全く問題ありませんし、むしろそれが当たり前だと思います。
ぜひ、勉強の為に購入して読んでみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回はeスポーツチームを運営していく中で、必要とされるであろう経営戦略について執筆しました。
企業で実際にされている経営戦略をベースに考えておりますので、少し小難しい話になってしまいましたが、eスポーツの場合だとこういうパターンで考えられるだろうなぁ。
という私のイメージで例文を盛り込んでみたりしてみたのですがいかがでしょうか?
次回の【猿でもわかるeスポーツ経営学】はeスポーツの組織作りはどうするべきか? について触れていきたいと思います。
では、またお会いしましょう。
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