見出し画像

小児のブルーライトカット眼鏡に注意

令和3年4月、日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会などが連名で、「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を発表しました。その一部をご紹介掲載します。

「体内時計とブルーライトの関係については、いくつかの論文があり、夜遅くまでデジタル端末の強い光を浴びると、睡眠障害をきたす恐れが指摘されています。従って、夕方以降にブルーライトをカットすることには、一定の効果が見込まれる可能性はあります。しかしながら、その他の点はエビデンスに乏しく、いくつかの問題点があります。
①デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベルであり、いたずらにブルーライトを恐れる必要はないと報告されています。
②小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるものです。なかでも十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まります。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できません。
③最新の米国一流科学誌に掲載されたランダム化比較試験では、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告されています。④体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にブルーライトカット眼鏡をあえて装用する有用性は根拠に欠けます。産業衛生分野では、日中の仕事は窓ぎわの明るい環境下で行うことが奨められています。
以上から、小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねません。偏りのない情報と充分な科学的根拠に基づいて、小児の目の健康を守って頂くことを願います。」

「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」日本眼科学会

睡眠に悪影響のある存在として知られるブルーライトですが、デジタル機器だけでなく、自然光にも含まれるもので、やみくもに恐れるべきものではないのですね。
スマホやパソコン画面の見過ぎはやはり眼精疲労やドライアイなどの原因となりよくないでしょうが、ひとつの健康情報を受け取るにも、善し悪しを見極めていきたいです。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

記事を最後まで読んで頂きありがとうございます。 ↓の画像をクリックすると桜の花出版が刊行した本をご覧になることができます。