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がんゲノム医療とは?

ときどきニュースなどで聞く「がんゲノム医療」。難しそうなイメージですが、どのようなものなのでしょうか。
国立がん研究センター がん情報サービスなどによると、がんゲノム医療とは、がんの発生した臓器ではなく、がん細胞に起きている遺伝子の異常を調べ、その遺伝子変異を明らかにすることで一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療のことです。
対象者となるには、全身状態が良く、そのがんに対する標準的な治療がない、または局所進行や転移が認められ標準的な治療が終了していること、などいくつかの条件があり、対象は今のところ限定的になっています。
がんを効果的に治療するためには、数万という単位の遺伝子のうち、がんの原因となっている遺伝子の異常を調べて、「自分のがんの性格」を知ることが一番重要です。その遺伝子異常に基づいて「どういう治療が良いか」を提案していくのが「がんゲノム医療」です。

がんの種類などによって合う治療薬があるかは大きく異なる

国立がん研究センター研究所が2019~2023年の間、集まった約5万人の日本人がん患者のデータ解析を行いました。それによると、治療薬の標的となる遺伝子変異があったのは全体の15.3%。がんの種類別では、甲状腺がんで85.3%、乳がん60.1%、肺腺がん50.3%であった一方、唾液腺がんや腎細胞がんなどでは0.5%未満と、がんの種類によっても大きな差があったそうです。

一人一人に合った治療法を探すがんゲノム医療の本質

研究が進められているがんゲノム医療ですが、今のところ治療には現在ある薬を使うしかなく、うまくマッチする薬があれば良い薬の提案ができるという段階です。
可能性として例えば、「肺がんの人に乳がんの薬がすごく効く」ということも十分にあり得ます。自分のがんの性格を正しく理解することが「がんゲノム医療」の本質です。基本的に遺伝子異常のないがんはなく、必ずどこかに異常があります。
この遺伝子異常には、ある程度共通するものがあります。例えば、膵臓がんではKrasという遺伝子の異常が8~9割くらいの患者さんに出ます。
ところが、それに関連する他の遺伝子異常のパターンが人によって違います。つまりがんの原因は一人一人少しずつ違います。極論すると、全く同じ遺伝子異常を持つがん患者は世界に二人といないのです。

今後、日本人に多いがん種での治療薬開発はさらに進んでいくでしょうし、そのように期待したいです。

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