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我が家の年越し

  数年前に、地元の新聞に投稿した文章です。残念ながら投稿は掲載されませんでしたが、ここを使って投稿します。


  例年通りの年末年始を過ごすつもりだった。大掃除をして、年賀状を書いて、夫の実家でごちそうを食べて、紅白歌合戦を見て、のんびり年越しをするはずだった。
 十二月に入り、色々と忙しい日々の中、いつものことと思いつつ過ごしていた。忙しさがひと段落した仕事納めの日、喉の痛みやら咳やら頭痛やら、風邪症状が出てきた。年末休み一日目に病院受診をして、風邪薬を処方してもらった。しかし、数日が過ぎても一向に良くならない。
 とうとう、大晦日の明け方になって発熱した。再度受診し、追加の薬を処方してもらい帰宅した。当然、夫の実家への帰省は中止となった。自宅で紅白歌合戦を見ながら、高熱で味覚が定まらないまま義母の作った差し入れのごちそうを食べて、寝てしまった。
 ふと目が覚めると、居間のテレビからジルベスターコンサートが流れていた。時報と共に演奏が終わり、大きな拍手と歓声が挙がった。新しい年がきたわと思った。
 元日になっても発熱は続いたが、ようやく微熱程度までとなり、夜にはテレビを見るまでに回復した。二日にはすっかり熱はさがり、出かけるはずだった荷物を片付けた。片付けをしながら、お正月はもう終わったわと寂しく思った。
 まさに寝正月を過ごした私。一方、夫はテレビやらパソコンやらで過ごし、子供たちもそれぞれ動画を見たり読書したりして過ごしていた。結局、お正月も普段と変わらない家族の過ごし方に、ほっとした思いと複雑な思いがした。

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