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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第85番 王妃 (Sinfonia No.85 "La Reine", 1786)

交響曲第85番は、パリ交響曲の中での作曲順は3番目で1786年に作曲されました。愛称の「王妃」は、フランス王妃マリー・アントワネットのことで、王妃がパリ交響曲の委嘱元であった「コンセール・ド・ラ・オランピック」管弦楽団のことを気に入っていたことと、パリ交響曲の中でもこの第85番を気に入っていたということからこの愛称がついたということです。気に入ったポイントがあるとは思うのですが、それがなにか、どこかについては分かりませんので、それを想像しながら聴くのもよいかもしれません。

マリー・アントワネット王妃は、1755年11月2日、フランツ1世とマリア・テレジアの第15子(第11女)として生まれ、1770年5月16日の14歳のときに、母マリア・テレジア皇后にフランス国王ルイ15世の孫ルイ・オーギュスト(後のルイ16世)と政略結婚させられました。1773年にはマリア・テレジア皇后がエステルハージ候を訪れ、そのときにハイドンさんの交響曲第48番「マリア・テレジア」が演奏されました。

1774年5月10日、ルイ16世が即位し、マリー・アントワネットは、18歳で「王妃」となりました。1789年にフランス革命が起こるので、王妃となってから約15年間は宮廷生活を謳歌していたことになります。この間の1780年11月29日にマリー・テレジア皇后が崩御されました。パリ交響曲が演奏された1786年と言うと、マリー・テレジア皇后が亡くなってから5~6年後、王妃は当時30~31歳ということになりますね。王妃はその6~7年後の1793年10月16日、37歳のときに断頭台の露と消えました。

第85番の第1楽章には交響曲第45番「告別」第1楽章からの引用があります。

第2楽章は、一説によると、フランスの古いロマンス「優しく若いリゼット(La gentille et jeune Lisette)」に基づいているということですが、どうなんでしょうか。

交響曲第85番変ロ長調「王妃」(Sinfonia No.85 B Dur ”La Reine”, Hob.I:85)
第1楽章 Adagio - Vivace 厳かな序奏部があり、宮廷風のヴィヴァーチェとなりますが、「告別」からの引用はサービスだったのでしょうか。
第2楽章 Romance. Allegretto 長調のガヴォット風のテーマから始まりますが、途中から優美な短調のロマンスが歌われます。王妃が気に入ったのはこのロマンスではないかと想像します。
第3楽章 Menuetto & Trio. Allegretto 宮廷風のメヌエットとトリオです。
第4楽章 Finale. Presto 可愛らしいメロディーで充満するフィナーレです。

マシュー・ディルスト(Matthew Dirst)さん指揮アルス・リリカ・ヒューストン(Ars Lyrica Houston)の演奏です。

ハイドン生誕300年記念企画、ジョヴァンニ・アントニーニ(Giovanni Antonini)さん指揮バーゼル室内管弦楽団(Kammerorchester Basel)の演奏です。

ヨハネス・シュレーフリ(Johannes Schlaefli)さん指揮マンハイム・プファルツ選帝室内管弦楽団(Kurpfälzisches Kammerorchester)の演奏です。

(by R)

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