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本日の一曲 19世紀までのクラシック音楽

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連載「本日の一曲」のうち、19世紀以前のクラシック音楽をまとめました。
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#クラシック音楽

本日の一曲 vol.420 ショパン 前奏曲第15番 雨だれ (24 Préludes Op.28 No.15 "Raindrop", 1839)

ピアニストの藤田真央(1998年11月28日生)さんの新譜が「72 Preludes」ということで、何の前奏曲かと思いきや、ショパン(Frédéric Chopin, 1810年3月1日生~1849年10月17日没)さんの作品28の前奏曲24曲、スクリャービン(Alexander Scriabin,  1872年1月6日生~1915年4月27日没)さんの作品11の前奏曲24曲、そして、矢代秋雄(1929年9月10日生~1976年4月9日没)さんの24の前奏曲の合計72曲の前奏

本日の一曲 vol.418 パガニーニ 24のカプリース (Nicolò Paganini: 24 Caprice)

ニコロ・パガニーニさんは、1782年10月27日に現在のイタリアのジェノヴァで生まれ、1840年5月27日にフランス・ニースにて57歳で亡くなりました。パガニーニさんの人生の前半はイタリアの地で過ごし、45歳の1828年3月のウィーンから始まり51歳の1834年6月のロンドンで終わる怒涛のヨーロッパ・ツアーの後、イタリアに戻り、ニースでの死までの晩年を迎えます。 パガニーニさんの楽曲の楽譜は晩年のときに大部分を焼却し、また死後残された楽譜も散逸してしまって、あまり残っていま

本日の一曲 vol.414 アーノンクール モーツァルト 交響曲第39番 (Wolfgang Amadeus Mozart: Symphony No.39 K.543, 1788 played by Harnoncourt & Concentus Musicus)

モーツァルトさんの交響曲第39盤は、1788年の夏に作曲された最後の3曲の交響曲(第39番、第40番、第41番)のうちの1曲です。第39番が6月26日、第40番が7月25日、第41番が8月10日に完成したとされています。 今回ご紹介する動画は、ニコラウス・アーノンクール(Nikolaus Harnoncourt)さん指揮のアーノンクールさんの手兵であるウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(Concentus Musicus Wien)による演奏で、2014年のオーストリア・

本日の一曲 vol.411 ローデ ヴァイオリン協奏曲など (Pierre Rode: Violin Concertos, 24 Caprice, 1813)

ピエール・ローデピエール・ローデさんは、1774年2月16日にフランスで生まれたヴァイオリニスト・作曲家で、ヴィオッティさんの弟子に当たります。 ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)さんのヴァイオリン・ソナタ第10番(Violin Sonata No.10 Op.96, 1812)は、ルドルフ(ルドルフ・ヨハネス・フォン・エスターライヒ)大公に献呈され、大公はローデさんと初演を行いました。 アンネ=ゾフィー・ムター(Anne-Sophie Mutt

本日の一曲 vol.405 シェーンベルク 浄められた夜 (Arnold Schönberg, Verklärte Nacht Op.4, 1899)

「浄められた夜(浄夜)」は、アルノルト・シェーンベルク(1874年9月13日生)さんが25歳の時である19世紀末の1899年に作曲した後期ロマン派の曲です。シェーンベルクさんは、この後、無調音楽、12音音楽へと発展していくのですが、若い頃は師であるアレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー(Alexander von Zemlinsky)さんの指導の下、ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms)さんとリヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)さんの影響を

本日の一曲 vol.397 トスカニーニ ロッシーニ ウィリアム・テル序曲 (Gioachino Rossini: Ouverture de Guillaume Tell, 1829 by Toscanini & NBC so)

ジョアキーノ・ロッシーニさんは、1792年2月29日、イタリア・ペーザロに生まれたオペラ作曲家であり、美食家でもありました。1810年の18歳のとき、オペラ「結婚手形」で作曲家としてデビューし、1829年の37歳のときに最後のオペラ「ウィリアム・テル」を作曲するまで、40曲近いオペラを作曲しました。ただ使い回しが多かったことはご愛嬌です。 ロッシーニさんは、最初イタリアで活動していましたが、1823年のオペラ「セミラーミデ」を最後にイタリアには別れを告げてフランスに渡り、1

本日の一曲 vol.378 ドヴォルザーク 交響曲第8番 イギリス (Antonín Dvořák: Symphony No.8, 1889)

アントニン・ドヴォルザークさんは、1841年9月8日、チェコ・北ボヘミア・ネラホゼヴェスに生まれ、1904年5月1日にプラハで62歳で生涯を閉じた作曲家です。系譜としては、後期ロマン派、チェコ国民楽派に属します。 ドヴォルザークさんで最も有名な曲は、ドヴォルザークさんのニューヨーク時代に作曲した「新世界より」の第2楽章の「家路」や「ユーモレスク」第7曲かと思います。 本日ご紹介するのは、渡米の前に作曲された1889年の交響曲第8番「イギリス」です。 愛称の「イギリス」で

本日の一曲 vol.365 チャイコフスキー 交響曲第1番 冬の日の幻想 (Pyotr Tchaikovsky: Symphony No.1, 1866)

ピョートル・チャイコフスキーさんは、1840年5月7日に現在のロシア連邦ウドムルト共和国のヴォトキンスクに生まれ、1893年11月6日に亡くなったロシアの作曲家です。ロシアの作曲家では一番有名な作曲家と言ってよいかと思います。 チャイコフスキーさんの番号付きの交響曲は第1番から第6番までのものがありますが、作曲年代とその時のチャイコフスキーさんの年齢は次のとおりです。 第1番ト短調 Op.13「冬の日の幻想」(1866年 26歳) 第2番ハ短調 Op.17「小ロシア」(

本日の一曲 vol.354 ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲 (Claude Debussy: Prélude à "L'après-midi d'un faune", 1894)

はじめに夏の気怠い(けだるい)隠微な午後には、クロード・ドビュッシーさんの出世作「牧神の午後への前奏曲」がぴったりです。オリンピック気分とはかけ離れた音楽ですね! この曲は、フランスの詩人ステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé)さんの詩「半獣神の午後(牧神の午後)」に感銘を受けて作曲されたものだと言われています。「Faune」とは、ギリシア神話とローマ神話に登場する半人半山羊の神話上の生き物のことを言います。 マラルメさんの詩については、こちらをご覧くだ

本日の一曲 vol.347 レオンカヴァッロ 道化師より「衣装をつけろ」 (Ruggero Leoncavallo: "Vesti la giubba" from "Pagliacci", 1892)

19世紀末のイタリア・オペラの新しい波として、ヴェリズモ・オペラがありました。これは「現実主義」と呼ばれるもので、簡単に言うと、その辺の人を題材にして、ドラマティックな表現をするオペラと言ってよいかと思います。 そのヴェリズモ・オペラの代表作として、ピエトロ・マスカーニ(Pietro Mascagni)さんの「カヴァレリア・ルスティカーナ(Cavalleria Rusticana、田舎の騎士道、1890)」とルッジェーロ・レオンカヴァッロさんの「道化師」があります。 「カ

本日の一曲 vol.345 エルガー ゲロンティアスの夢 (Sir Edward Elgar: The Dream of Gerontius Op.38, 1900)

エドワード・エルガーさんの楽曲については、2回ほど紹介したことがありました。 本日ご紹介するのは、オラトリオの「ゲロンティアスの夢」ですが、このオラトリオ、日本語では聖譚曲は、声楽曲でその言葉は日本語ではなく、しかもそのジャンルのほとんどがキリスト教に関係するものですので、なかなか日本人には馴染めない分野の楽曲です。 この「ゲロンティアスの夢」ではどんなことが歌われているのかといいますと、曲は第1部と第2部に分かれ、第1部は死期が迫った主人公の男性ゲロンティアスが死に恐れ

本日の一曲 vol.332 ピアノ・トリオ集補遺 ハイドン ピアノ三重奏曲第40番 (Franz Joseph Haydn: Piano Trio No.40 Hob.XV:26, 1795)

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)さんのピアノ三重奏曲第38番(Hob.XV:24)・第39番(Hob.XV:25)・第40番(Hob.XV:26)の3曲は、ハイドンさんの2回目のロンドン・ツアー(1794~1795)の最後の数週間に作曲されたもので、当時のハイドンさんの恋人だった在英のレベッカ・シュローター(Rebecca Schröter, 1751-1826)さんに献呈されたものです。 レベッカさんは、ピアニストであったヨハン・サミュエル・シュローター

本日の一曲 vol.331 ヴィオッティ ヴァイオリン協奏曲第23番 (Giovanni Battista Viotti: Violin Concerto No.23, 1792)

ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ(Giovanni Battista Viotti)さんは、1755年5月12日、現在のイタリアにあったサルデーニャ王国のフォンタネット・ポー(トリノの北東約40キロ)で生まれ、先日ご紹介したフリッツ・クライスラー(Fritz Kreisler)さんの「前奏曲とアレグロ(Praeludium and Allegro)」の作曲者とされていたガエターノ・プニャーニ(Gaetano Pugnani)さんの弟子になり、ヴァイオリンや指揮法などの