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食の勇者たちに心を寄せたはなし

この衝撃的な写真。

いや、これが何かわからなかったらきっと衝撃でもないかもしれない。

これ、虫です。

たとえば、「今あなたが食べようとしたそのお刺身を顕微鏡で見たらこんな感じです。」と言われたならば、きっとその後あなたはお箸をすすめることはできなくなるでしょう。(ごめんなさい。たとえ話です。決して風評被害を起こそうとしているわけではありません。お刺身屋さんごめんなさい。)

ただ、これは真実でこの虫は海の中での光景です。(お刺身の顕微鏡ではありません。お刺身屋さんごめんなさい。)

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ワタシは7月と8月に『サイパンの珊瑚の産卵観察プロジェクト』というものに参加していました。3月末以来、観光客の入国制限をしているサイパンで仕事がゼロでにっちもさっちもいかなかくなっているダイビングインストラクターたちの有り余るモチベーションとポテンシャルとフラストレーションの矛先をぶつけたプロジェクトになって、結果は大成功となりました。

サンゴの産卵と言えば、漆黒の夜の海にポツンポツンと浮き上がるピンクの珊瑚の卵が舞う生命の神秘たる映像をNHKスペシャルとかナショナルジオグラフィック的な番組などでチラッとでも見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。

珊瑚礁の島サイパンでも例外なくその海の中の小宇宙は確かに繰り返されていました。

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ただし、この大量の虫と一緒に・・・。

この虫、プロジェクトチームのメンバーも誰も知らなかったのです。見たことも聞いたこともなかった。

だけど、確実に7月と8月の下弦の2~3日前から出現してきて、下弦の月前日にピークを迎え、下弦の月の当日には激減します。ずっと夜だけ。

調べてみると、これ同じく南の島のサモアではご馳走なんだって。

このサイトではサモアでしか食べられないとありますが、他の場所でも食べられていたりするようです。太平洋パロロって名前から推測できるように大西洋パロロもあるし、なんだったら日本パロロもある。

動画で見るとこんな状態です。

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人間との比較はこんな大きさ。これ・・・食べるの??

勇者

最初に〇〇を食べた人ってすごいなって常々思う。まずは、匂いの強いものね。チーズとか納豆とかさ、うちのバングラデシュ人のパパは納豆が食卓に乗ってるだけでソーシャルディスタンスをとってくるもんね。そんなバングラデシュチームも時々恐ろしい匂いのドライフィッシュ(クサヤのようなにおい)を焼いては嬉しそうに食べてる。

匂いなんてわかりやすい指標があればまだいいけど、たとえばキノコ系とか間違ったら命の危険すらあるじゃんね。これは食べられる、これは食べられない。これは食べられるけど、ちょっと楽しくなっちゃう・・・とか(;'∀')。

たぶん、勇気ある先人がトライアンドエラーを繰り返し、積み重ねていったデータベースなんだろうね。(トライアンドエラーの予測変換がトライ安堵エラーになって、妙に納得・・・)

見た目がグロテスクなこの太平洋パロロだって、なんで食べたんだよ・・・ってつい先日までは全く理解ができなかった・・・。

貴重なたんぱく源??いやいや、魚いるやろ・・・。島なんだしさ。なんでわざわざこのキモチワルイやつたべないといけないのさ・・・。

1ミリも理解できねー。

って思ってたのですが・・・。先週ふと・・ストンと腑に落ちた。

珊瑚プロジェクトのメンバーの投稿を見て

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いいなぁ。タコってサイパンでは1匹で買うと$20くらいする。海で獲ればもちろんタダ。サイパンには漁業権みたいなのはないので、勝手に素潜りで獲っても近隣の漁業協同組合の方にボコボコにされることはない。(スクーバダイビングで獲ったら逮捕です。)

ダイビングではタコを見つけるのは得意なんだけど。。。素潜りで見つけられるのかなぁ。自信ないわ。

それでも、やっぱりこの収入ゼロのこの生活にこの「タコとったどー!」の投稿はまぶしくて。。。聞いたよね。獲り方。

うちの目の前ももちろん海で、その気になったらいつでも行ける。ただ、ひとつ気になるのは・・・タコって砂地に住んでないよね。岩場やサンゴの隙間に住んでない?この二人がタコ獲ってるところ砂地。

聞いてみたら、なんのことはない。砂地のところから遠くの岩場のところまでカヤックや泳いで行っているということでした。

「その気になったらいつでも行ける」撤回

うちの次女(9歳)と同い年の子も行っているということだったので、うっかり次女に「今度タコ獲りに行こうよ」なんて言っちゃってたけど、カヤックに乗ったりして沖まで次女を連れてでるなんて、考えただけでもワタシにはできん・・・・・。

1匹$20.納得のお値段です。

体力とスキルと経験とそれなりの道具が必要なのだ。海があるから獲れるというもんではない。

あ、なるほど。妙に納得。

太平洋パロロは太平洋パロロが大量に出現する日さえ知っていれば、誰でも獲れるんだ。

そのくらいめちゃくちゃいる。深度が膝くらいの浅瀬でもウジャウジャいる。これが美味しかったらサイコーだなって思った太古の『ワタシみたいに魚を獲るスキルがないやつ』がひとくち食べてみたんだろうなぁ~。そうしたら、意外とイケルってことが分かったんだろうなぁ。そんな人たちにとってはやっぱり貴重なタンパク源だろう。

だって、素手でだれでも手づかみで大量に獲れる海のタンパク源って他にあります?

でもやっぱりワタシは太平洋パロロよりタコが食べたいなぁ。

♢♢おわり♢♢

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。このブログはコロナウィルスの感染拡大防止策で入国制限を4月から続けているサイパンのダイビングインストラクターが収入ゼロ5ヶ月目にして、さすがに厳しくなってブログで生活費を稼ぐために始めました。どう稼いで行くかは神のみぞ知るです。




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