先輩への恋文。
大好きな先輩が卒業してしまう。ゼミで発表するパワポスライドはいつもわかりやすくて、そんなに高くない声は妙に心地よく私の耳に届いた。奥二重の目は優しくて、ある日言われた ありがとう助かったよという言葉とセットで私に向けられた屈託のない笑顔はキラキラしていた。
研究室に行ったら先輩に会えるかもしれないから今日はメイク気合い入れようとか考えたり、ちょっといつもよりおしゃれしようとか思ってたりしたの知らないでしょ。先輩に言われたアドバイスもできる限り拾いたかったし、先輩の口から私に向けて発せられた言葉や行動を何一つ記憶からこぼれ落としたくなくてノートに日記をつけた。どうしても先輩に近づきたくて、アドバイスされた日には、ここどういうことでしたっけとか分からないふりをして質問しまくってたな。
そんな日々ももうなくなってしまう。
嫌だ。嫌だ。行かないで欲しい。先輩の後ろ姿、先輩の声、匂い、歩く時の癖。いろんなことを思い出してまた泣いてしまう。ずっと研究室にいて欲しい。私の発表資料のアドバイスをして欲しい。研究している時のあの横顔を見ていたい。ゼミでの発表の声を聞いていたい。やっぱり先輩素敵だなってずっと思っていたい。これから先輩の席が空いて、他の人が座ることになるのは本当に勘弁して欲しい。そうなるなら私が座りたい。いらないものももらって大事にとっておきたい。行かないで。まだ離れたくないよ。
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