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何もかもを逆転させてくれる結婚なんて、この世には存在しない。

突然だけど私は離婚経験者である。

24歳で結婚して、27歳の時に家出して、離婚調停をするも不成立。
最終的に当事者二人だけで話し合って離婚ができたのは29歳の時だった。

2年近くも離婚するしないで争っていた私たちの離婚の理由はめちゃくちゃ簡単にいうと「価値観の不一致」。
もっと突っ込むと「元旦那からのモラハラ」。
だけどやっぱり双方の言い分を考えると価値観の不一致が一番しっくりくるなと思っている。

なぜそう思うのかというと、私は確かに彼によってたくさん傷つけられてきたけども、もし彼にとっての相手が私ではなかったら、ああはならなかった可能性もあるような気がしてしまうからだ。

という話は後で詳しくすることとして、まずは元旦那との出会いから話していきたいと思う。

彼と出会ったのは大失恋をした後にヤケになって参加した合コンだった。

この人は王子様かもしれない。
そう思った。
つらい現実から救い出し、何もかも逆転させてくれる王子様。

この時の大失恋の相手は私の方から好きになって、ずっと追いかけて尽くしまくった末に振られてしまった相手だったのだけど、彼(元旦那)は最初から強くアプローチしてくれた。

失恋話は前の記事を見てね。

合コンで隣の席になった時に連絡先を聞かれて、その後すぐに食事に誘われた。
初めての食事はまだ日が明るいうちのランチだけで、急に頭をポンポンしたりもしないし、ちゃんと夕方に解散してくれて、ガツガツしておらずスマート。

6歳差という年齢差も、離れすぎてもなく、でも確実に自分より大人で、選ぶお店も言葉遣いも服のセンスも何もかもが素敵だった。

「すごく素敵な人だなと思っていて、よかったらお付き合いしてほしいと思っています。」

彼から告白されたのは合コンで出会ってから3回目のデートの時だった。
その時は初めて2人でお酒を飲みに行った日で、お店も高級すぎず、でもチェーンでもない、知る人ぞ知る、という感じの洒落たお店。

状況もタイミングも100点満点では?という告白だったが、なぜかもったいぶって「知り合ったばかりだからまだ分からないです。」と一度断った私。
それでも変わらずご飯に誘ってくれて、それから数回会って、2回目の告白をされて彼との交際がスタートした。

彼は当時30歳。
地方にある実家は地元では有名な会社ではあるが、自分でも会社を経営していて、雑誌や本にも取り上げられたことがあるとかで、いわゆる成功者というやつだった。

そんな奴がなんで合コンにいたんや。
それに関しては今でも謎。
でも、結婚願望がかなり強いことは最初の方から感じていた。

正直それだけのスペックであれば結婚相手なんて選び放題だと思ったが、彼は私を選んだ。
理由は「一目惚れしたから」らしい。
なんて単純なんだろう。

だけど今までそうやって外見しか見てくれない男たちに不満を持ち、たくさん傷ついてきたくせに、そういうことに対する警戒心よりも、
「彼こそは違う!」という謎の自信と、「この人と付き合って、もし将来結婚したら私の人生逆転できる。」という打算心の方が強かった。

要は「男は金、女は顔」である。
はからずも幼い頃から父に言われてきた通りのカップルが誕生したのであった。

※父の発言と私の価値観形成についてはこちら。

そんな形で始まった交際ではあったが、
付き合ってからも彼はとても優しかった。

当時地方の会社で働いていた私が彼に会えるのは週末に東京に帰った時だけだったが、時間に都合がつくからと、平日でも何度も新幹線に乗って会いにきてくれたし、ちょっとしたことですぐに落ち込む私に変な踊りを見せてくれたり、たくさん笑わせてくれたりもした。

思いやりがあって、面白くて、優しい人。

親も、友人も、彼を会わせた人はみんな彼について「素敵な人だね」と言ってくれたし、クソ恋愛を繰り返していたことを知る友人たちは心底ホッとしたと喜んでくれた。

最初に結婚の話が出たのは付き合ってから半年も経たないときだった。

彼から「遠距離だし一緒に暮らさない?」という話があって、「会社も辞めたらいいよ」という話になり、気がついたら二人で銀座に婚約指輪を見に行っていた。
恐るべきスピード感。

当時の私はなぜか会社の先輩デザイナーに嫌われて意地悪されたり、同期とも恋愛関係のいざこざに巻き込まれて居心地が悪かったりと、会社にいることが苦痛だった。
(仕事もつまらなかったしね。)

とにかく現状から逃げ出してしまいたい。
その気持ちが、彼に感じていた違和感の数々を悉く無効化させた。

最初に感じた違和感は、彼が異常に私が不機嫌になることを嫌うことだった。

「俺、すぐ不機嫌になる女性は苦手なんだ。」

最初に言われた時は「そりゃみんなそうだよね〜」と特に気にしていなかったのだが、これが異常なほどの感知能力だったのだ。
例えば電車を逃してしまった時、少しでもため息をつくものならもうダメだった。

今まで楽しく会話をしていたのに、一気に場の空気が凍りつき、彼は無言になる。目から光は消えて、話しかけても基本無視。
どうしたの?と聞いても無視。

「俺が不機嫌になった理由は自分で考えてみろ」スタイルである。

ため息くらいならまだマシなもので、実際こちらが不機嫌になっていなくても彼がそうだと判断すればもうそれは完全にアウトだった。

結婚前、一緒に新居で使う食器を買いに行ったことがある。
その時私が手に取ったお皿に対して彼が「これは好みじゃないなあ」言った。
私は「わかった」とお皿を戻し、彼を見ると先ほどまでの和やかな雰囲気は消滅し、ものすごい顔でこちらを見ている。
「どうしたの?」と聞くと無視。
私を置いてものすごい勢いでスタスタ歩いて行ってしまうので、一生懸命追いかけて理由を聞くと、「あれくらいのことで不機嫌になるなんておかしい」と一方的に詰られた。

「不機嫌になんてなっていないよ」と言っても「口答えするな。言い訳するな。」で全く話にならなかった。

結局その時はどうしたらいいか分からなくなった私が駅のホームで大号泣したことにより、彼の機嫌が戻って事は収束したのだが、今思い出して書いていても明らかにおかしいことがわかる。

が、それでも結婚を辞めようとは思わなかった。
いや、正確にいうと少し頭を掠めたが、もうそんなことを言えない段階まで来ていたし(退職し、一緒に住む家も見つかっていた)また1から人生をやり直す勇気も度胸もなかった。

結婚後問題があると話すと大抵の人は「そんなに酷い人なら、結婚する前にわからなかったの?」と言ってくる。
私も例外ではなく、いろんな人に何度もその言葉を言われた。

そういう時は面倒だから「最初は分かりませんでした。」と答えるけど、正確に答えればこうである。

「なんとなくうっすらやばい気はしたけど見えないように自分に自己暗示をかけていました。」

さっきのお皿事件も、冷静に振り返って書いているから彼のおかしさがわかるが、当時の私からしたら「こんなに優しい人を私が変な態度をしたせいで怒らせてしまった。私はなんて酷い女なんだろう」だった。
相手の悪い面を認めると都合が悪いから、全部自分のせいだと置き換えてしまうのである。

認知の歪みも甚だしい。

そんなわけで不穏な空気たっぷりで幕を開けた元旦那との結婚生活(出会編)であるが、両親の挨拶はもっとやばかった。

ということで次回、衝撃のご挨拶編である。

続く


モラハラ話の全編はこちら


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