【読書日記】朝井まかて「ボタニカ」を読んで、朝ドラを予習してみる

人は好きという感情だけでその職を全うできるか。
私は研究職に憧れている。自分の好きなものを見つけ、それを一生の仕事として選び、研究し続ける。裏ましい限りだ。
実際、死ぬまで探究心を失わず、自分の研究に没頭し続けた人の話は尽きない。児童書の偉人伝など、そんな人々のオンパレードだ。
しかし、私も大人になって考えた。その周りの人たちに何か影響はないのだろうか、家族やら、親戚やら。

次期NHK朝ドラの主人公は、牧野富太郎氏。主演は神木隆之介くん。いや、くん付けではもう失礼なほど立派に成長された。しかし愛を持って私は末長く、くん付けで呼びたい。

私が牧野富太郎の名前を知ったのは、いとうせいこうのボタニカルライフにどハマりした頃。

緑の指を持たない私は、植物を枯らすばかりのベランダーなのだが、そんな自分を肯定してくれたのがこの本。そんないとうせいこうが敬愛する人として、さまざまなところで牧野富太郎の名前を出している。近々いとうせいこうが牧野富太郎の本を出すらしい。こちらも読まねば!

長年気にはなっていたが、積極的に調べることもせずに今に至り、朝ドラの主人公になることを聞き、朝井まかての「ボタニカ」でとりあえず予習しようということに。

冒頭の問いに戻る。答えは否。
金だ、研究には金がたんまり必要だ。
そして生憎、研究者本人は他の才能に全ての力を注ぎ込んでいるため、お金を稼ぐ才が一切ない。さて、どうする?
幼い頃から植物好きの主人公が、自分の好きな道を邁進し、見事植物学者になるという単純な話では全くない!牧野富太郎がまた愛されキャラじゃなかったら朝ドラとして成立しない波瀾万丈っぷり。神木隆之介をキャスティングしたのは大正解。

褒められること、そして人を妬むこと。
この二つについて語られる場面がとても印象深い。私もこんな風に正直でありたい。

意外な人との繋がりも垣間見ることができる「ボタニカ」。朝ドラ前の予習に、そして草木が芽吹くこの季節にぜひ読むことをおすすめしたい!

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