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魔族は官僚だ:葬送のフリーレン

葬送のフリーレンを8話まで視聴。魔族への興味から、勝手な妄想が頭から離れなくなったのでメモしておく。原作者の意図とは異なります(たぶん)。

●魔族と魔法使いが示すもの
魔族は「官僚」を象徴している。プライドが高く、成果を誇ることが存在意義。積み上げが好き。天才は嫌い。
フリーレンたち魔法使いは「クリエーター」。くだらないこと好き。オタク的。天才的なひらめきが好き。魔族(官僚的なもの)は嫌い。

●官僚的なものとは
官僚的なものは目的がはっきりしている。その目的に向かって手段を講じることが本懐だ。だからそこで使われる「言葉」も手段として使われる。しかし、この「手段化した言葉」は大きな欠点がある。伝える人から伝えられる人への「一方向性」が強くなり、それは「分かり合うための言葉」ではなく「説得するための言葉」となる。説得には「現実をある特定の図式で見ること」への強制が含まれる。つまり「欺くこと」が含まれている。誤解を恐れずに極端なことを言うなら、官僚的なものには「分かり合うためではなく、欺くために言葉を使う」ところがある。

●不要不急の恨み
新型コロナのドタバタの中で、官僚用語「不要不急」が流行ったのは記憶に新しい。エンタメ的なものには「不要不急」というレッテルを張られた。しかし本当は、何が「不要不急」なのかは「不急」の定義によるはずだ。もしそれが「数か月単位」のことを言うのであれば、エンタメは決して不要ではない。多くの人は「くだらないものなし」で健康に生きられない。だが平気な人もいる。その人たちを象徴するのが「官僚的なもの」と呼ぶなら、エンタメ的なものを生業とするクリエーターは「官僚的なものに対しする恨み」を抱えたのだ(繰り返すが、これは私の妄想です)。

●恨みを晴らすフリーレン
不要不急の恨みを抱えたクリエーターは考える。官僚的なものと戦うために必要なものは何だろうか?彼らの弱点は「彼らが不要不急と切り捨てたもの」を侮っていること、それ自体にある。彼らは、すべてを数字に還元し、還元できないものを侮ってしまう。であれば「数字の偽装」「計算できない天才性」が必要だ。そこで出てくるのが「フリーレン」という最終兵器だ。魔力制御の達人にして、くだらない魔法へこだわりを示す天才。官僚的なものを葬るためのキャラクター、それが「葬送のフリーレン」。

●恨みから生まれる、前向きなもの
もちろん、天才的なものとくだらないもので社会は回らない。地道に積み上げることが必要だ。だから、本当に葬り去るべきものは官僚自体ではない(当たり前すぎる)。葬り去るべきは「分かり合うための言葉をつかえない存在」だ。分かり合う言葉ををつかえる魔族。これからのフリーレンの旅が、そんな魔族と出会う旅になってくれたらと、切に願う。


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