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一番手軽に”ていねいな暮らし”を手に入れる方法(もしくは苺ジャムの作り方)

苺のパックを2パックもらった。

熟しすぎて若干食べごろを過ぎた、ところどころ傷みはじめている小さな苺を見て、「これはジャムにするしかない」と思い立った。
 元々ジャムは保存食の一種(たぶん)。立派で大きくて真っ赤でちょうど食べごろの苺をジャムにしてしまうのは大の苺好きとしてもったいなさすぎるけど、熟れすぎてピンクになりかけてるこの苺はむしろ”苺ジャムにするべき苺”だ!ということなのである(ちなみに、私は一番好きな食べ物を聞かれて間髪入れずに「苺」と答える人間だ)。ちょうど休日ということもあいまって俄然やる気が湧いてくる。

スマホで苺ジャムのレシピを調べて、買い出しのメモを作成する。昔親が苺ジャムを作ってくれたことがあったので知ってはいたけど、使うグラニュー糖の量えげつないな!とか思う。保存食としてジャムを作る際は、苺のグラム数のだいたい80~100%のグラニュー糖で作ると常温でも保存できるようになるらしい。そうかと思えば、糖分が気になる人向けに60%のグラニュー糖を使ったレシピも紹介されている。今回は、甘ければ甘いほど美味しいだろ!という心の声に従い、100%の割合でジャムを作ることにする。材料とレシピは以下の通り。

  • 苺・・・400g(傷んで食べられない部分とヘタを切り落とした後の重さ)

  • グラニュー糖・・・400g

  • レモン汁・・・30ml

  1. 苺にグラニュー糖とレモン汁をかけ、全体がなじむようにかき混ぜる。

  2. ラップをしてそのまま常温で1・2時間寝かせる。

  3. 苺の汁が出てきたら鍋に移し、中火で火にかける。焦げ付かないようにかき混ぜる。

  4. 焦げ付きそうになったら弱火にしてとろみが付くまで煮込む(かき混ぜた時に鍋の底が少し見えるくらいまで)。

レシピによっては材料を混ぜた後火にかける前に一晩おくと指示しているものもあったものの、思いつきで行動しているので一晩も待っていられる心の余裕はない。一時間以上寝かせれば苺の汁が充分出てくるという情報もある。結局今回は2時間ほど常温においてから火にかけ始めた。
 思ったより苺の汁が出ていなくて心配になりつつ中火にかけると、途端にグラニュー糖が溶けて汁っぽくなってきて一安心する。むしろ今度はちょっと汁がさらさらすぎない?と不安になってくる。何かゼラチンとか入れるんだっけ?でもレシピには3つしか材料がないし、できるだけ苺の濃度が高いままジャムに仕上げたい。慌ててレシピを確認しても、「とろみが付くまで煮込む」としか書かれていない。何分間煮込むのかの記載もなく、これは上級者向けのレシピだったか・・・と思い知ることとなった。
 なんだかんだ20~30分近く煮込んでいると、心なしか汁部分にとろみがついてきたような気がしてくる。これはレシピには書いていなかったが、個人的に苺部分はつぶれてぐずぐずになっている方が好きなのでヘラで苺をつぶしていく。グラニュー糖由来の甘い香りがキッチンとリビングに充満していてむせかえるようだ。かき混ぜると鍋の底が見えるような気もするが、どこまでとろみが付けばゴールなのかやっぱりわからない。
 もうこれくらいでいいだろ、と半ばやけになって、火から下ろしてタッパーに苺ジャムを移していく。本当は可愛いビンとかに入れるのがオシャレなんだろうけど、洗いにくさと処分のめんどくささからあいにくうちにビンなどはない。それでも苺ジャムはつやつやキラキラ輝いていて、なんでもなかった一日が急に豊かになった気がした。
 そこでハッと悟る。”ていねいな暮らし”って自分には無縁だと思っていたけど、苺ジャムを作るだけでこんなに”ていねいな暮らし”感出るんだ!大好きなダブ○ソフトをトーストして、マーガリンを塗った上に手作りのジャムをたっぷり塗る。びっくりするほど甘くて、苺のつぶも美味しくて、あっという間にダブル○フトを平らげてしまった。マーガリンってしょっぱい食べ物だったんだな、と新たな気づきを得る。400gもの苺をジャムにしたので、まだまだたくさんジャムが残っていてあと数日は楽しめるな、と内心ほくそ笑んだ。

ていねいな暮らしをしたいけどあんまり手間をかけたくないという人。ぜひスーパーに行って売れ残りの苺を買い、ジャムを作ってみてはいかがだろうか。材料を混ぜて火にかけるだけなのに、キラキラ輝く美味しいジャムとていねいな暮らしが手に入ります。苺は処分されずに生まれ変わり、スーパーも在庫が割けて一石三鳥。苺のシーズンが終わる前にぜひ。


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