ハシビロコウが好きだ

動かない動物(動く物と書くのに)が話題になる不思議。
数年前ハシビロコウは「動かない」というまさしくそのキーワードで不動の人気を誇っていた。今でも結構な人気で、数少ない飼育動物園ではファンが彼らを見つめている。

私は彼らが話題になるそのずっと前(20年くらい)から実は注目していた。
シンガポールのジュロンバードパーク、そこで巨大な不動の鳥に会った。
その大嘴と鋭くも愛くるしい目、アンバランスな頭でっかちとかわいらしい後頭の冠羽。
その時は鳥の名前もよくわからないまま(英語表記ゆえ)、遭遇中じっと見つめたが1ミリも動かず、私は「なんで動物園なのにはく製を置いているんだろう」と本気で思った。

現在、日本で最も飼育している動物園は東京の真ん中「上野動物園」である。よって東京に行くときにはコースに「上野動物園」が入る。パンダ狙いでないところが玄人っぽい(気がする)。
なんと5羽いるのだ。癒しのひと時だ。うれしい。

私と同じように愛でている人がいる。
眼鏡、帽子、リュック、そしてカメラで中年女性。
ハシビロコウはあらゆる人を魅了していると思われるが、こんな中年女性比率が高いような気がしているのは私だけだろうか(私も当然、眼鏡、帽子、リュック、カメラ)。

そんな時、ハシビロコウが「バサッ、バサッ」と低く飛んだ。
「あっ!動いた!」
数名の熱いファンが声を上げた。
定番のくだりである。
動物園での感嘆ワード、比率の高い順から(私の経験統計)「かわいいー」「大きいー」「寝てる」「食べた」「こっち見た」「『小屋の中にいます』って、見えへんじゃん」であるが、
ハシビロコウに限って言えば、「あっ!動いた」である。
「あっ!」が付く絶妙さは他に追随を許さない世界観。

最近の動物園の動物人気ランキング(「ヤフー学び」調べ、ベネッセ、2020 )によるとゾウに始まって、パンダ、キリン、ライオン、コアラ、トラ、レッサーパンダ、カピバラ、ミーアキャット、シマウマである。      鳥類はやっと16位にフラミンゴ。

私は今、ハシビロコウの啓蒙活動をライフワークにしたい。という衝動に駆られている。

ハシビロ (2)


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