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ぼくのつらら


ぼくのつらら

大切なつらら

ぼくが見つけたんだ

あれは、ぼくのなんだ



ぼくのつらら

特別なつらら

がんばって手に入れたんだ

こわれないように とけないように

雪で守ってたんだ

今日もってかえろうと思ってたんだ



でも、ぼくのつららはもうここにはない

あの子がとったんだ

ぼくのつららをこわしたんだ

そしてみんなもいっしょになって

ぼくのつららをこわしちゃったんだ

絶対そうに決まってる



ひどいよ

ひどいよ

ひどいよ

あれは、ぼくのつららなのに



うそじゃないよ

だってあの子のもってるつららには

黒いぶつぶつもようがあるでしょ

あれは、ぼくのつららのしるしだよ


うそじゃないよ

だってみんなつららのかけらを

腕いっぱいにもってたもん

あれは、ぼくのつららのかけらだよ

 

ぼくのつららかえしてよ

ぼくのつららかえしてよ



ぼくのつらら

大切なつらら

ぼくが見つけたんだ

ぼくが見つけたんだ

あれは、ぼくのなんだ



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ある雪の積もった2月の寒い日。
地域での子どもたちとの活動の場面でのこと。



​この日の6時間目は
小学校の1,2年生の子たちと
校舎にたくさんできてたつららで遊んだ。


下校時間になってみんなが
グラウンドに並んでいる中、
ひとり下駄箱で動けなくなっていた6年生。
床に大の字になって、泣いていた。


「どうしたの?」と聞くと、
ぼくのつららの話をしてくれた。


その姿が
どうしても忘れられなくて
詩にしたくなった。



私が1,2年生と遊んでるときに
雪に刺さっていたひときわ大きなつらら。



あれは、あなたのつららだったんだね。
そんなに特別で大切なつららだったんだね。


ごめんね。そうとも知らずに
他のつららと混ぜて遊んじゃった。



自分にとって
特別で大切なものが
誰かに取られたり、壊されちゃうのは
とっても悲しいよね。
とっても傷つくよね。

あなたのつららは
本当に立派だったから
大部分は欠けずに残ってたけど
形は変わってしまっていたね。


置いてあるはずの場所からなくなって、
形の変わったあなたのつららを
満面の笑みでもってる子がいて、
こなごなのつららのかけらをみんなが
たくさんもってたら、
それはそれは
すごいショックだったよね。


ほとんどのかけらは別のつららだけど、
そういうことじゃないもんね。


もうあの「ぼくのつらら」は
この世界からなくなっちゃったんだもんね。



私たちから見たら全部同じつららでも、
あのつららは、あなたが見つけたんだもんね。
あのつららは、あなたのつららなんだもんね。
だから、特別で大切なんだよね。


でも、そんな風に
自分の特別で大切なものが
なくなったり、壊れたり、
形が変わってしまった時に、

素直に泣けるあなたのことを
「あれはぼくのなんだ」と言えるあなたのことを
私は少しうらやましいと思ったよ。


私は、すぐ平気なフリしちゃうから。
特別でも大切でもないみたいにしちゃうから。
そんなのそもそもなかったみたいにごまかしちゃうから。


私もあなたのように
素直に悲しんで泣いて
気が済むまでぐずぐずしてみたいな。
そんな姿を出してみたいな。


私の話をちゃんときいてくれる人、
構ってくれる人、甘えさせてくれる人が
私にもたくさんできたからさ。
今度チャンスがきたら、やってみたいな。


そして、
あなたが「ぼくのつらら」を
特別で大切だと思う気持ちや
失って悲しくなる気持ちは、
どんな人の中にもあることを
忘れないようにするね。


子どもとか大人とか
住んでる場所とか見た目とか
金持ちとか貧乏とか
そんなの関係なく
みんながもってる
とっても大切な気持ちだと思うから。


私はこの詩を読み返すたびに
あなたの姿と大切な気持ちを思い出すね。

あの時はこんな風に
あなたに言ってあげられなかったけど、
私はこんな風に思ってたよ。

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あなたはこの文章から何を感じましたか?
もしよかったら教えてください^_^

最後まで読んでくださり
ありがとうございます。


ホーミタクエオヤシン。











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