「今しかできない執着オバケ」との決別〜黒島ひとり旅〜今しかできないワケがない。
石垣島への往復チケットを取った。
本音を言うと、色々考えた結果ミャンマーひとり旅を諦めると決め、最初は悔しさとやるせなさが拭えなかった。
そこで、そんなモヤモヤが現れた時の必殺技”モヤモヤの正体を突き止めろ!”を使って、心の中を掘り下げる時間を作った。
そこで見えた正体は、「今しか行けないのに!!!」という執着オバケだった。
「せっかく転職期間で旅ができるのに」
「再就職したらもうできないかもしれないのに」
そんなふうに考える癖が、いつの間にか染み付いていた。
休みが取得しにくい環境で、ずいぶんと働き、自分を抑えて我慢の限界に達してから、ようやく深呼吸しに、近場で旅をする。
そういう生活を送っていた。
仕事はやりがいに溢れていたから、それも私の悔いなき選択だった。
でも、もう一度考えよう。どうやって生きていきたいのか、立ち止まろう。
大切にしたいものが何なのか、ちゃんと心の声を聞こう。
そう思い、たくさん悩んで、時間をかけて、覚悟を決めた。
そうして33歳で思い切ってキャリアを捨て、退職し、1年が経つ。
「今しか行けないのに!!」
そんなワケないじゃない。
その長い強い執着から離れるためのきっかけが、海外旅の断念という今回の予定変更だったんだ。
「今しか行けないのにオバケ」め!
もうあなたとはお別れ。
心と体が元気でいられれば、旅はできる。
できないことを数えるんじゃなく、心がハッピーでいられる方法を数えるんだ。
前置きがだいぶ長かったが(いつものこと)、石垣島を拠点にして12日かけて好きな島を渡り歩く、自由な旅にしようと決めた。
最初の2泊だけ石垣島の船のターミナル近くでゲストハウスを予約した。
それからいくつかの島を周ったが、本命は、石垣島から船で30分ほどの離島「黒島」だった。
Webクリエイターの学校で最近知り合った、世界中を旅しているお姉さんのLINEアカウントの写真に心が動かされたからだ。
石垣島へ着いても、地元の人たちに「黒島は半日で周れるから、日帰りでちょうどいいよ」と何度も言われたが、なんとなく、3日間は過ごそうと思った。
いつも旅先を決めるときには、直感というか、ピンとくる勘をとても大事にしている。上記リンクのスイスもそうだ。
そしてその勘は外れない、と信じている。
でも、もしかしたら「外れない」んじゃなくて、たとえどんな旅になろうとも、自分の旅は愛おしいと知ったからかもしれない。
自分を信じるというのは、心地よくて、不安で、嬉しくて、怖くて、複雑で、シンプルだ。
黒島も例外でなく、直感は外れなかった。
人口200人に対して、牛2800頭。
海がひたすら綺麗で、穏やかで、「何もない」がある島。
自転車でゆっくりと島を周る。
立ち止まって写真を撮り、たまーーに人とすれ違い、会釈をする。
カフェにも立ち寄った。
島に似合うほっこりさと、センス抜群のおしゃれさを兼ね揃え、ゆるやかで気さくなお姉さんが店を切り盛りしている。
今が旬の黒島のあおさを使った、「あおさチーズトースト」と、同じく黒島特産の黒糖を使った「黒糖チーズケーキ」をいただいた。すごく美味しいの。
展望台や黒島灯台にも行った。
そして、ものすごかったのは伊古桟橋だ。
ああ、たのしかった‥。
ミャンマーに行けなくても、心からたのしかったよ。
執着オバケとお別れして、
どう転んでもたのしい道を選択して、切り開いていける自分で在りたい。
子どものように夢中で遊ぶ時間。
自分の「好き」を集めること。
在りたい自分でいること。
出会う経験と人と景色から、考え方や価値観を広げること。
複雑さを削ぎ落とし、シンプルに見つめること。
歳と経験をそれなりに重ねて思う、わたしの旅の意味はそれらなのかなと思うようになった。
ありがとう、黒島。
自分を見つめる、かけがえない旅になったよ。
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