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詩 | 美しいの

ほら、またその顔になった。

たばこを吸いながら、
あなたは斜め下を向いている。

わたしはいたずらな気持ちになりながら、
熱い視線を送ってみるの。

あなたはなかなか気づかないんだから、
今度は頭の中を覗いてみたくなるでしょう。

あなたの過去を想像するの。

その悲しい出来事が起きた時、
あなたはどんな顔をしていたの。

周りから、一つ一つ消えていって
残ったものは音楽だけだった。

電気も灯さない暗い部屋で
音楽が心に流れていったの。

ときどき涙を流しながら
かつての音楽家と心を合わせた。

そういう意味だったのかと、
そのときわかることも多かったんだ。

一緒に音楽を聴いていたとき、
あなたの悲しみがこちらに届いた。

わたしを通して溢れ出てきたとき
あなたの目からも涙が出てた。

一人では消化しきれない悲しみが
わたしを通して外に出ていく。

ほんの一部の悲しみを
たどってみたら底がないんだ。

深くて暗くて怖いところから
悲しい音楽が聴こえてくる。

美して悲しくて恐ろしい音楽。

目を逸らしたくなるのに
また聴きにいくんだ。

底無しの悲しみから
聴こえてくる音楽がある。

悲しくて恐ろしくて美しい音楽。

抱えきれなくなった悲しみが
もう一人の人間に伝染して

涙となって体外へと溢れ出ると
美しい節となって魅了するんだ。

怖くて恐ろしくて悲しくて美しい。

悲しくて恐ろしくて怖くて美しいの。





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