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舞台は魔法と仲良し

先日、ミュージカル「メリー・ポピンズ」を観劇した。

※ネタバレを多様に含むのでネタバレを食いたくない方はそっと閉じてください。

公演概要

ミュージカル『メリー・ポピンズ』

観劇日 :2022年3月31日、4月19日
観劇劇場:東急シアターオーブ
原作  :パメラ・トラバース
演出  :リチャード・エア     (敬称略)


キャスト

メリー・ポピンズ     :濱田めぐみ/笹本玲奈
バート         :大貫勇輔/小野田龍之介
ジョージ・バンクス    :駒田一/山路和弘
ウィニフレッド・バンクス:木村花代/知念里奈
バードウーマン/ミス・アンドリュー
                                    :島田歌穂/鈴木ほのか
ブーム提督/頭取   
                                 :コング桑田/ブラザートム
ミセス・ブリル     :浦嶋りんこ/久保田磨希
ロバートソン・アイ   :内藤大希/石川新太

他              
                 (敬称略)

私が観劇した日程のキャストは以下の通り。

公式サイトはこちら↑


座席について

初回の観劇日は3階の真ん中下手より。舞台面はめちゃくちゃ鋭角にしか見えないのでメリーが空を飛んでいく姿は途中で見切れる。悲しい。

ただ、最後にメリーがまさかの座席の方に向かって飛んできてくれて、そのゴールが3階なのでそこは誰よりも近くで堪能できた。
飛びながらこちらをみてくれる時の優しい表情は3階席に座っている人がいちばん近くで見れたと思う。


2回目の観劇は、2階前方上手より。かなり前方だったので上の方が見切れるということは全くなかった。
でもやっぱり一階席に比べると遠いし3階席に比べると飛んでくるメリーも途中までしか見えないので、今作に限っては1階席が取れないなら3階席の狙うのが吉だったなと思った。


感想

舞台と魔法の親和性

私は去年の初演時から舞台「魔法使いの約束」に狂っているのでなんとなくずっと思っていることではあったが、舞台と魔法の親和性は本当に高いと感じた。

舞台は生のエンタメなので目の前で行われていることが全てであり、映像のようにCGを使うこともできないし、動画のように後から編集をすることもできない。

その事実を観客側も理解しているからこそ、観客は舞台上で行われていることをある程度想像力で補いながら受け取っていく。

上からロープでつられた人間が移動していたら「飛んでいる!」と受け取るし、ハンドルだけを持って走っていれば「自転車を漕いでいる」と受け取る(舞台弱虫ペダル)。

観客の想像力さえあれば、下手なCGを使った映像よりもよっぽど舞台の方が色々なことができると思う。

私はそもそも劇場という限られた空間の中でさまざまな世界を作る舞台演劇自体が魔法のようで面白いと感じている。だからこのミュージカルは舞台演劇の面白さそのものを見たように感じた。

メリーが繰り広げるさまざまな魔法という名の手品も、近所の公園で見たら「面白い手品だな」という感想になるが、舞台上で行われていると「魔法だ!!すごい!」という気持ちになる。

この作品は魔法の数々をほとんど映像などを使うことなくアナログな演出で行なっていたので、観客の想像力を掻き立てる、舞台の魅力がたっぷり詰まった作品だったと思う。


煙突掃除屋の存在について

この作品の代表曲の1つとして「ステップ・イン・タイム」という煙突掃除屋たちの楽曲があるが、これが本当に素晴らしかった。

大勢の煙突掃除屋たちの一糸乱れぬタップダンスは呼吸するのも忘れて見入ってしまった。
あの迫力を言葉にするのはなかなか難しいが、忙しないタップの中で動きやアクセントがピタッと揃う瞬間の心地よさは今でも鮮明に思い出せる。

これは2度舞台を見ただけなので想像にすぎないけど、あれだけたくさんの煙突掃除屋がそれぞれ1つの家庭を見守り、働き、幸運を運んでいる。どこの家庭も煙突掃除屋が見守ってくれているから大丈夫だよ、安心してねというようなメッセージにも感じられた。

あのシーンが映画だとどのような演出になっているのかとても気になるので近々映画も見てみたいと思う。


役についての感想

役について、自分が印象に残っていて記録しておきたいことを少しだけ書く。

メリー役の濱田さん、いつも完璧すぎる最高の歌声で聞いててすごく気持ちいいのに、おもちゃの歌の時だけすこーーしだけ音程を低くとっているのか、裏声感を強くしているのか、すごく不気味に感じられてそれがまた良かった。あの歌怖い。

バートは2人とも見ることが出来たのだが、それぞれのメリーに対する姿勢が少し違うように感じて面白かった。
大貫バートはメリーのことを単純に好きというか、メリーにされることは100%嬉しくてウキウキしちゃう♡みたいに感じられた。
それに対して小野田バードはもちろんメリーのことは好きだけど、もう少し大人の余裕があるというか、恋の駆け引きみたいな(この表現があっているのか分からないが)そんな様子が感じられた。

ロバートソン・アイの内藤さん、他の作品でも何回か見たことはあったが、こんなにバカっぽくできるの!?かわいい!となるバカっぽさでとても良かった。あれは愛される…

バードウーマン/ミス・アンドリューも御二方とも見れた。
2人とも演じ分けがすごくて双眼鏡を凝らして(?)見るまで同じ人だとは気づかなかった。
個人的には、バードウーマンは鈴木さん。ミス・アンドリューの方は島田さんが好みだった。
鈴木さんの柔らかい包み込むような歌声がバードウーマンの楽曲にピッタリすぎて涙腺が緩んだし、島田さんの刺すような歌声と目付きに2幕頭から背筋が伸びた。
物語のキーポイントになる2役なので出演時間以上に印象に残っている。

ミセス・コリー役のエリアンナさんはディズニーミュージカルにおける2.5次元俳優なのかな?と言うくらいアニメーションに出てきそうなキャラクターでとても面白かった。エリアンナさんの歌が大好きなのでもう少し聞きたかったなーという寂しさもある。

あとこれは感想にも満たないが、ネーレウス役の長澤さん。ミュージカル『アルジャーノンに花束を』の大ファンなので再び踊っている姿を見られて嬉しくなった。またアルジャーノンも再演して欲しいなぁ…




ミュージカル『メリーポピンズ』を通じて、舞台と魔法の親和性について改めて感じさせられた。

この作品の感想として最もよく見られるのが「いい話だった」とか「面白かった」ではなく「楽しかった」というのがメリーポピンズ、及びディズニー作品らしくてまた良い。

本当にとても楽しい観劇だった。また再演されることがあったらぜひ見に行きたい。


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