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ソナチネ以降のピアノ曲 前編
この記事では、ソナチネレベルの生徒さんがさらにステップアップしていくための曲をまとめています。
進学や就職などの理由で、練習時間を確保することは難しくなってきますが、
これから説明する3つの柱から1曲ずつを選び、並行して進めるのが良いと思います。
3つの柱
3つの柱とは、⑴ポリフォニー⑵古典派のソナタ⑶ロマン派以降の作品、です。
⑴インヴェンションとシンフォニア(ポリフォニー)
⑵古典派のソナタ
⑶ロマン派以降の作品
本来ならば四つめの柱としてエチュード(練習曲)も取り入れるべきなのですが、教則本を一冊丸々やるよりも、勉強している曲の難所に応じて、様々な練習曲をピックアップする方が現実的だと思います。
定番の練習曲集にはこのようなものがありますね。(リンクを押すとimslpに飛びます。)
①ハノン
②リトル・ピシュナ
③チェルニー30番
(この後に、チェルニーの40番や50番、クラマービューロー、モシェレス、ショパンエチュードなどのレベルへと進んでいきます。)
テクニックについては、「上手く弾けてない部分に自覚的になれること」が重要です。自覚的になれれば先生に質問できるし、テクニック本の内容を応用することもできるからです。
【おすすめのテクニック本】
①パスカル・ドゥヴァイヨンの ピアノと仲良くなれるテクニック講座
②新版ソアレスのピアノ講座 演奏と指導のハンドブック
⑴インヴェンションとシンフォニア(ポリフォニー)
インヴェンションではまず、フレーズを左右の手で全く同じように弾けること(左手でも旋律を歌えるようにすること)を目指します。
また、調性・拍子・音型などからその曲のキャラクターを探り、自分でアーティキュレーションや強弱、テンポを考えることで、表現力を磨きます。
第1番から番号順に勉強するのではなく、なんとなく履修順の慣例があるのですが、好きな曲から順に取り組んでいくというので大丈夫でしょう。
【始めの方に取り組まれることの多い曲】
♪第1番 ハ長調 BWV772
♪第4番 ニ短調 BWV775
♪第8番 ヘ長調 BWV779
♪第13番 イ短調 BWV784
シンフォニアは初めのうちはどんなに出来が良い生徒さんでも、仕上げるのに1ヶ月程度かかるといいます。
3声なので、真ん中のアルトパートを左手と右手で分担して演奏するのですが、声部の流れを意識しながら弾くのにはある程度慣れが必要になってきます。
シンフォニアに取り組む1番の目的は、声部を聴き分ける耳を養うことです。
そして各声部を弾き分けるためには、10本の全ての指をコントロール下に置かなくてはならないので、指の独立をさらに鍛えることができます。
【比較的演奏しやすい曲】
♪第1番 ハ長調 BWV787
♪第4番 ニ短調 BWV790
♪第11番 ト短調 BWV797
《インヴェンションとシンフォニア》は全曲一度は演奏しましょう。
楽譜は、ウィーン原典版やヘンレ版、ベーレンライター版などの原典版を用いて、アーティキュレーションや強弱を自分で書き込んでいくと、勉強になります。
ピティナピアノ曲事典の解説が参考になるので、目を通しておきましょう。
おすすめのyoutubu動画はこちらです。①Kawaz
…こちらのチャンネルは、他にもチェルニーの練習曲などが多く収録されており、とても参考になります。
②ピティナピアノ曲事典 (中川京子演奏)
③アンドラーシュ・シフ
…バッハといえば、アンドラーシュ・シフ派かグレン・グールド派で分かれるのですが、シフさんは教育関係者からも広く支持されています。
⑵古典派のソナタ
ウィーン古典派の3人、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンのピアノソナタは、バッハの《インヴェンションとシンフォニア》同様、ピアノ学習者にとってとても重要な曲集です。
ハイドンのソナタ
【ステージ1】
♪Hob.ⅩⅥ34 ホ短調
♪Hob.ⅩⅥ35 ハ長調
♪Hob.ⅩⅥ36 嬰ハ短調
♪Hob.ⅩⅥ37 二長調
この中から1~2曲取り組んだのちに、他のソナタを弾くとよいと思います。
・楽譜はウィーン原典版の使用率が高いです。
モーツァルトのソナタ
【ステージ1】
♪K283 ト長調
♪K309 ハ長調
♪K332 ヘ長調
♪K545 ハ長調
この中から1~2曲取り組んだのちに、他のソナタを弾くのがよいでしょう。
楽譜は、原典版の1つであるベーレンライター版のほか、ウィーン原典版には指遣いの掲載があります。
実は下記サイトでは、ベーレンライター社から刊行されている「新モーツァルト全集」の楽譜が公開されています。
ベートーヴェンのソナタ
【ステージ1】
♪第9番 op.14-1
♪第10番 op.14-2
♪第19番 op.49-1
♪第20番 op.49-2
♪第25番 op.75『かっこう」
この中から1~2曲取り組んだのちに、ステージ2へ進みましょう。
【ステージ2】
♪第1番 op.2-1
♪第5番 op.10-1
♪第6番 op.10-2
♪第8番 op.13『悲愴』
♪第14番 op.27-2『月光』
♪第17番 op.31-2『テンペスト』
♪第22番 op.54
♪第24番 op.78『テレーゼ』
よく知られてる曲では、《悲愴》《月光》《テンペスト》あたりは、挑戦しやすい曲といえるでしょう。
楽譜は、長らくヘンレ版が愛用されてきていますが、2020年に新しく全集が刊行されたベーレンライター版も今後使用されていくでしょう。
⑶-➊前期ロマン派
シューベルト
シューベルトのピアノ独奏曲には、《さすらい人幻想曲》《楽興の時》《即興曲D899》《即興曲D935》《3つのピアノ曲》21曲のピアノソナタなどがあります。
中でも即興曲D899(op.90)は演奏される機会の多い作品です。
またシューベルトは、歌曲の伴奏を弾いてみるのもお勧めです。ピアノ独奏曲だけに取り組むよりもシューベルトの音楽が理解できますし、初見の練習にもなるからです。
メンデルスゾーン
メンデルスゾーンのピアノ作品では、《無言歌集》が、演奏の機会がもっとも多く、学習用の教材としても使用されています。
♪無言歌集 op.30-6 《ベニスのゴンドラ歌》
♪無言歌集 op.53-3《プレスト・アジダート》
♪無言歌集 op.62-6《春の歌》
(ほかには、《甘い思い出》《後悔》《狩人の歌》《デュエット》《紡ぎ歌》といった曲がよく知られています。)
長めの曲ならば、こちらの《ロンド・カプリチオーソ》は、華やかで舞台映えする名曲です。
シューマン
♪幻想小曲集 op.12
-第2番《飛翔》 (動画の3:11から)
-第5番《夜に》
下記の小品集から1〜2Pの曲を何曲か抜き出して練習する、というのも楽しいと思います。
【曲集・小品集・性格小品】
♪謝肉祭 op.9
♪子供の情景 op.15
♪ウィーン謝肉祭道化 op.26
♪森の情景 op.82
ショパン
♪ノクターン (21曲)
第1番 op.9-1
第2番 op.9-2
第4番 op.15-1
第9番 op.32-1
第20番 (遺作)
この中から1~2曲取り組んだのちに、他のノクターンを弾くのがよいと思います。
♪ワルツ (19曲)
第3番 op.34-2
第6番 op.64-1
第7番 op.64-2
第9番 op.69-1
第10番 op.69-2
第12番 op.70-2 (動画の1:42から)
ワルツイ短調 (遺作) (動画の50:19から)
ノクターンと同様、この中から1~2曲取り組んだのちに、他のワルツを弾くのがよいと思います。
♪マズルカ (58曲)
第5番 op.7-1
第47番 (遺作)
第48番 op.68-3 (遺作)
特に取り組みやすいものを挙げると、こちらの3曲になります。
♪エチュード op.10 op.25
op.10-3
op.10-5
op.10-9
op.25--1
op.25-2
op.25-9
2024年1月28日(日)に加筆修正しました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
『ソナチネ以降のピアノ曲 後編』へ続きます♪
さくら舞🌸
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